NHK 解説委員室

解説アーカイブス これまでの解説記事

「デジタル化の遅れ 取り戻せ!」(ここに注目!)

櫻井 玲子  解説委員

政府は今週、経済・財政運営の基本方針、いわゆる『骨太の方針』を閣議決定する予定です。その最優先の課題として位置付けられたのが、新型コロナウィルス対応で浮き彫りとなった「デジタル化の遅れ」の克服です。櫻井解説委員です。

C200713_0.jpg

Q 櫻井さん、毎年発表される「骨太の方針」、ことしは「デジタル化」が大きな柱になるのですね。

C200713_2.jpg

A はい。新型コロナウィルスの感染拡大をきっかけに、日本のデジタル化が遅れている。特に、行政のITシステムに、綻びがあることが明らかになったことが背景にあります。たとえば、国民に一律10万円を配る特別定額給付金のオンライン手続きで、混乱や遅れが生じた問題。
マイナンバー制度をはじめとする国と地方自治体の情報システムの連携がバラバラだったことが原因ですが、数週間程度でおカネを配り終えたアメリカなどとくらべて、「遅すぎる」という批判の声もあがりました。
また、雇用を守るための助成金のオンライン申請でも、個人情報が流出するトラブルがあり、国の情報システムへの信頼が揺らぐ事態となりました。
このため、政府は、この1年を「集中改革期間」と位置付け、一気に対策をすすめる考えです。

Q 具体的にはどんな対策を打っていくのですか?

C200713_4.jpg

A 今回の教訓をもとに、国と地方自治体が一体となって、情報システムの統一や連携をすすめる。
そのために、政府の中に新たな司令塔を作り、民間の専門家も入れて、どんな工程が必要かを、年内に決める、としています。
ただ、これで本当にデジタル化の遅れが取り戻せるかというと、課題もあるんです。

Q どんな課題ですか?

C200713_6.jpg

A 実は日本はすでに20年前から、世界最先端の電子政府の実現を掲げ、IT本部を設けて、民間からも専門家を採用してきました。
それだけに、これまでの取り組みと何が違うのかをはっきりさせた上で、利用者、つまり国民にとって、使い勝手のよい仕組みに作り直す必要があります。
また、新型コロナウィルスの感染拡大が今も続く中、スピードも問われています。
年内に工程表を作るので間に合うのか。
来年の今ごろにはどこまで整備がすすんでいるのか。
大胆で迅速な動きと、冷静な検証が、求められています。

(櫻井 玲子 解説委員)

キーワード

関連記事