NHK 解説委員室

解説アーカイブス これまでの解説記事

「方針決定! 副業時間は合算」(ここに注目!)

竹田 忠  解説委員

政府が推奨している副業・兼業で、最大の懸案となっていた
労働時間問題について、現行通り、本業と副業の労働時間を
合算することで決着しました。竹田忠解説委員です。

C200707_0.jpg

Q①竹田さん、この絵を見ますと、本業と副業の労働時間が
  一方は別々ですが、一方は足されてますね?

そうなんです。
このどちらで捉えるかで、議論が続いていたんです。
どういうことかというと、
たとえばこれは、本業で一日8時間働く人が
その後、6時間、副業するケースなんですが、
別々でみれば、なんの問題もない。
しかし、労働基準法では、
この場合は労働時間を合算することになってます。
そうすると、副業の会社の方は
この場合では割り増し賃金を払うことが必要になるし、
もし週5日で一月続けた場合は、
残業の上限規制をはるかに超えるので、法律違反になってしまう。

Q②そう聞くと、会社にとっては
副業というのはかなり運用が難しいということですか?

C200707_3.jpg


実はそういう側面があるんです。
そこで政府の規制改革推進会議が去年、
副業を推進するためには
この労働時間の合算について見直すべき、という報告書をまとめた。
またこれを受ける形で、厚生労働省の検討会も、
労働時間を合算せず、別々に管理することも選択肢の一つ、
という報告書をまとめた。

C200707_5.jpg

しかし、これに対し、労働組合の連合などが
それでは労働者が守られない、と反対して対立していた。
で、結局、先日、政府が成長戦略の素案を発表して、
この中で、労働時間は合算する、という方針が示されて、決着したわけです。

Q③でも、合算するためには、その人が別の会社でどれだけ働いたかを
知らないとダメですよね?

C200707_6.jpg


そこが重要なんです。
今回の素案では、それは働く人の自己申告制にすると。
もし、申告漏れや虚偽の申告があっても
会社側は責任を負わない、とまで明記してるんです。
こうすれば会社側は副業を認めやすくなる。

ただ、問題は、総務省の調査だと、
副業している人の7割は、本業の年収が300万円未満。
つまり生活のために副業している人の長時間労働が増えるおそれがある。

これに対し今回の素案では、本業の会社が、副業の時間を制限できる、
という新たな方法も示されてまして、
政府は秋ごろまでにこのルールの詳細を詰める方針です。

(竹田 忠 解説委員)

キーワード

関連記事