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「記録的大雨 施設の高齢者をどう守る」(ここに注目!)

松本 浩司  解説委員

今回の大雨では高齢者施設のお年寄りが巻き込まれる被害が繰り返されてしまいました。

Q)痛ましい被害が出てしまいましたね。

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A)被害があったのは球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」で、入所者14人が心肺停止になっています。これまでも豪雨災害で高齢者施設が巻き込まれる被害はこれまでも繰り返されてきました。

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特に4年前の台風10号では岩手県岩泉町で川が氾濫し、高齢者グループホームの9人が亡くなりました。この災害をきっかけに氾濫など危険のある地域にある高齢者施設などには、入所者を避難させる「避難確保計画」を作ることが義務付けられました。

Q)今回被害のあった施設はどうだったのか

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A)この施設も浸水想定区域に入っているため避難確保計画を作り、去年11月には訓練も行っていました。しかし夜間の急激な増水で1階にいた入所者が逃げ切れなかったと見られ、今後、検証が必要です。

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台風や豪雨への警戒が必要な季節はこれからですが、問題は避難確保計画もまだ作っていない施設が多いことです。計画を作った施設は去年3月時点で36パーセントにとどまっています。

進まない理由は▼介護が必要なお年寄りを移動させることや避難先を確保するのが難しいこと、▼専門知識が不足していること、さらに▼水害や津波などの危険のある場所に新しく施設が建設されていること。10年で4倍近く増えた地域もあります。

Q)何とかしなければなりませんね

A)施設の中には避難所になる学校や地域住民の協力を得て早めに避難をしたり、
次善の策として2階以上に入所者を集める計画を立て、訓練をしているところもあります。
去年の台風ではぎりぎりで命が守られた施設がいくつもありました。
まず避難確保計画の策定を急ぐこと。策定したところも、今回や去年の台風の経験を共有して、早めに行動を起こし、命を守る最善の方法について、あらためて検討をする必要があります。

(松本 浩司 解説委員)

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