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「中・豪対立激化で日本への影響は」(ここに注目!)

神子田 章博  解説委員

新型コロナウイルスをめぐって中国とオーストラリアの関係が悪化しています。

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Q 両国の関係はどうして悪化したんでしょうか?

A 今年4月、オーストラリアが、ウイルスの発生源に関して独立した調査が必要だと主張したのがきっかけです。中国側は強く反発し、オーストラリア産の大麦が不当に安く輸入されているとして80.5%という高額の関税を上乗せしたり、中国の人々にオーストラリアに旅行に行かないよう呼びかけたりするなど、圧力とも受けとれる行動に出ています。

Q それに対してオーストラリア側はどういう反応をしているのでしょうか?

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A オーストラリアにとって中国は輸出の3分の1近くを占める最大の貿易相手国ですが、言論の自由を経済の力で封じ込めようとするかのような中国のやり方に警戒心を募らせています。こうした中で中国への経済面での依存度を低くしようと、日本などからの投資を呼びかける動きを強めています。さらに中国の海洋進出への警戒を強めるインドとの間で包括的戦略パートナーシップを発表し、経済に加えて安全保障面での協力強化を打ち出すなど、中国に対峙する構えを見せています。

Q 中国を包囲しようとしているようにも見えますね

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A イギリスのジョンソン首相は、G7主要7か国にこのインド・オーストラリア・韓国を加え、デモクラシー=民主主義という価値観を共にする国々D10の枠組みをつくろうと提唱。中国への経済面での過度な依存を避けるためD10の枠組みの中で製品や部品を調達するサプライチェーンの検討を進めようとしていると伝えられています。またアメリカのトランプ大統領も中国包囲網とも言える構想を示しています。こうした中で、日本は先週、香港の問題で一国二制度の維持などを中国に求めるG7の外相による共同声明に加わりました。ただ、あからさまに中国包囲網に加われば、中国からの反発を買い、結びつきの強い日中間の経済関係を損ねるおそれもあります。日本としては、こうした点も考慮しながらの難しい対応とはなりますが、自由と民主主義を重んじる立場から主張すべき点はしっかりと主張していくことが求められています。

(神子田 章博 解説委員)

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