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「中国・インド国境衝突 緊張は回避できるか」(ここに注目!)

安間 英夫  解説委員

中国とインドの両軍が先週、国境地帯で衝突し、45年ぶりに死者が出る事態となりました。
人口で世界第1位と2位、ともに核保有国の緊張は、国際政治に大きな影響を与えるおそれもあります。

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Q)衝突が起きたのは、どんなところなのでしょうか。

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A)「カシミール地方」という、中国とインド、そしてパキスタンの3つの国に囲まれた地域です。
標高4000メートル以上の険しい山岳地帯で、地図で点線になっているのは、今も3つの国の間で国境が画定していないためです。
今月15日、実効支配線をはさんで中国とインドの部隊が衝突し、インド側の20人が死亡したほか、中国側にも死者が出たと見られます。
銃などを使用してはいけないという両国の合意があったため、石やこん棒を使った殴り合いなどで被害が拡大したと見られています。

Q)なぜ衝突になったのでしょう。

A)実は、先月から小競り合いが起きていました。
双方がこの付近で道路などのインフラ整備を進め、互いに警戒感を強めたのです。
両国の外相は衝突のあとの電話会談で、対話による解決では一致したものの、相手側が合意に反して「構造物を作った」、「越境した」などと非難し合っています。

Q)衝突はおさまったのでしょうか。

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A)新たな衝突は今のところ伝えられていませんが、殴り合いから武器を使った戦闘にエスカレートしかねないリスクは残されています。
中国は、アメリカとの対立などを背景に、「戦うおおかみ・戦狼(ろう)外交」と呼ばれる強気の外交姿勢を各方面でとる一方、インドのモディ政権もナショナリズムを重視し、とりわけこのカシミール地方をめぐっては対外的に強硬姿勢を崩していません。

Q)緊張を回避することはできるのでしょうか。

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A)カギとなるのは、双方がこれまでのように決定的な対立や戦争に発展することをおそれ、自制できるかどうかだと思います。
かつてと比べ飛躍的に国力を強めた両国には、責任ある大国としての行動がいっそう求められ、国際社会もそれを働きかけていく必要があります。

(安間 英夫 解説委員)

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