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「アメリカ経済 回復までの道のりは?」(ここに注目!)

櫻井 玲子  解説委員

アメリカの中央銀行にあたるFRB・連邦準備制度理事会は今週、景気を支えるゼロ金利政策を、少なくとも2年は続けると、先行きに慎重な見通しを示しました。
櫻井解説委員です。

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Q1 景気を支えるための金融政策を2年先まで続ける。
ということは、アメリカ経済、それだけ状況が厳しい、ということですか。

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A1 はい。11日のNY市場でも、ダウ平均株価が1800ドルを超える急落、となりました。FRBのトップをつとめるパウエル議長が前の日の会見で「経済の復活までは長い道のりになる」と述べたことがきっかけです。
新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、4月の個人消費は過去最大の減少を記録。
輸出や生産も低迷しています。
景気の動きをリアルタイムで把握するのに注目される「GDP Now」という指標によると、ことし4月から6月までの成長率は、年率でマイナス48パーセントにまで落ち込む可能性があるとしています。

Q2 一方で、このところNY市場の株価、一時期にくらべれば、ずいぶんとあがっていましたよね。

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A2 そうなんです。最新の雇用統計が予想に反して改善し、最悪期を脱したのでは?と、楽観ムードが漂っていました。
日本円にして300兆円もの景気対策が実施され、現金の給付や、特例による失業手当の上積みで、個人所得が実は、増えていることも、背景にあります。
このため1人につき1200ドルが配られた「コロナ給付金」なども元手に、株を買う個人投資家が急増して株価が上がり、経済の実態とは、かけ離れた動きをしてきた、という見方もあります。

Q3 となると、この先はどういったことが懸念されるのでしょうか?

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A3 およそ8人に1人が職を失っている中、失業給付金の積み増しは来月で期限切れとなります。第2波のおそれもある中、コロナウィルス拡大前と同じ水準の経済活動再開には、時間がかかると予想されます。
パウエル議長は「社会の構造的変化で、元の職場には戻れず、新たな職を探す人も出るのではないか」と追加策の検討にも言及しています。
このところ景気回復への期待が高まっていたアメリカですが、経済の本格的な復活に向けては、予断を許さない状況が続きそうです。

(櫻井 玲子 解説委員)

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