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「感染症トリプル危機 国際社会の支援を」(ここに注目!)

二村 伸  解説委員

新型コロナウイルスが猛威を振るう中、アフリカのコンゴ民主共和国ではエボラ出血熱が流行し、複数の感染症への対応を迫られています。

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Q.エボラ出血熱といえば致死率が高い危険な病気ですね。

コンゴ民主共和国ではおととし夏以降東部でエボラ出血熱が流行し、3400人あまりが感染、その7割近くが亡くなっています。WHO・世界保健機関は去年、「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」だと発表しました。今年2月以降は新たな感染がなく、WHOは4月12日に終息を宣言する予定でした。ところが、宣言予定日の2日前に感染が確認され終息宣言は6月下旬に先送りされました。2度目の終息宣言のカウントダウンが始まってまもなく今度は北西部で流行し、これまでに5人が死亡しました。さらに新型コロナウイルスも猛威を振るっています。感染者は4000人をこえ、90人近くが亡くなっています。

Q.トリプル危機のもう一つの感染症は何でしょうか?

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はしかの流行です。去年以降感染者は30万人をこえ、6000人以上が死亡しました。WHOは「世界最悪のはしかの流行だ」としています。コンゴ民主共和国は世界最低の医療水準と言われ、当局や援助機関は危機感を強めています。さらに感染症以外の脅威もあります。

Q.別の脅威ですか?

治安の悪さです。コンゴ民主共和国はダイヤモンドやコバルト、レアメタルなどに恵まれた世界有数の資源国ですが、武装勢力が資金源の地下資源をめぐって抗争を続けています。とくに政府の支配が及ばない東部は無法地帯で、国連によれば去年10月以降1300人の住民が犠牲になり、エボラ治療センターも襲撃を受けました。住民たちは感染症だけでなく暴力や武力衝突からも身を守らなくてはならないのです。

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治安の悪化は医療活動をも難しくしているだけに、国の安定と医療体制の充実に向けた国際社会の支援がこれまで以上に必要です。新型コロナウイルス対策の一方で、本来救えるはずの命が見捨てられるようなことがあってはなりません。

(二村 伸 解説委員)

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