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「コロナで不透明 最低賃金『引き上げ』」(ここに注目!)

竹田 忠  解説委員

働く人の格差是正に必要なのが最低賃金の引き上げです。
しかし、ここ数年続いてきた3%という高い水準の引き上げが
今年は不透明な情勢となっています。竹田 忠解説委員です。

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Q 竹田さん、この絵は、左が最低賃金を払っている企業、
右が受け取っている人と家族、という感じですか?

A そうなんです。
そもそも最低賃金というのは、労働者の生活を守るために、
企業が最低限払わないといけない賃金のことで、法律で罰則もあります。
なのに、日本の最低賃金、実は、国際的にみて低水準なんです。

Q だから、困っている顔をしていると?

A そうなんです。そこで、安倍政権は
最低賃金を全国平均で時給1000円にすることを目指し、
毎年3%程度あげる、という方針を5年前に打ち出した。
その方針に沿って、その時は800円にも届いてなかった時給が
去年は、901円にまで上がった。
ついに1000円が見えてきた、というところで、
今年はこの先どうなるか、突然、不透明になってきた。
 
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Q その原因が、新型コロナウイルスなんですか?

A そうなんです。
景気が急激に悪化して、企業の倒産も増えている。
今は賃金を上げる余裕がない、ということで、
日本商工会議所の三村会頭が、政府の会議で、
今年は引き上げを凍結すべきだ!と強く主張したんです。
一方、連合の神津会長は
毎年積み上げていくことが大事だと反論した。
結局、安部総理大臣は、
今は働く人の雇用を守ることが最優先の課題だ、と述べて
そのためには中小企業への配慮が必要という考えを示した。
これによって、今年は3%という高い水準の引き上げは、
むずかしくなったという見方が一気に広がったわけです。

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Q そうすると、最低賃金はこれからどうやって決まるんですか?

A 今月中にも、厚生労働省の審議会で議論が始まって、
来月には全国平均でいくら上げるのかが決まります。
最低賃金を少しでも上げるのか、それとも現状維持か?

いずれにしても、大きな課題は、今の最低賃金では
フルタイムで働いても年収は200万円ぐらいだということ。
チャンと働けば安心して暮らせる社会をどう作るのか?
その視点が重要だと思います。

(竹田 忠 解説委員)

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