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「トランプ大統領 再選危うし!?」(ここに注目!)

髙橋 祐介  解説委員

アメリカ中西部ミネソタ州で黒人男性が白人警察官によって抑えつけられて死亡した事件をきっかけに、全米各地で黒人差別に抗議するデモが続くなか、再選をめざすトランプ大統領は、窮地に立たされているようです。髙橋解説委員です。

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Q1)
けさのイラストは、トランプ大統領がホワイトハウスから転がり落ちそう?
A1)
あら危ない。秋の大統領選挙まで5か月を切り、ツイッターでの強気の発言とは裏腹に、支持率低下に焦りの色がうかがえるトランプ大統領。最近の世論調査でトランプ氏は、勝敗の鍵を握る激戦州のほとんどで、民主党バイデン氏にリードされ、南部テキサスなど共和党が地盤とする州の一部でも、僅差に追い上げられているからです。

Q2)
全米各地で続く抗議デモが影響している?
A2)
デモ隊の一部が暴徒化した混乱への対応で、民主党側が攻勢を強めているのは確かです。背景にあるのは、アメリカが長年抱えてきた人種差別の問題です。ところがトランプ大統領は、人種問題と正面から向き合わず、党派対立を煽るかのような言動をくり返し、「軍の動員も辞さない」として、力で抑えつけようという姿勢が批判を浴びているのです。
しかも、新型コロナウイルスの感染拡大による社会不安と、雇用の落ち込みが、まるでドミノ倒しのように連鎖して、対立激化を助長している面もあるでしょう。

Q3)
トランプ大統領には形勢不利な情勢が続くのでしょうか?
A3)
アメリカ労働省は日本時間の今夜、先月=5月の雇用統計を発表します。失業保険の新規申請件数は、前の月より減っているようですが、戦後最悪の14.7%を前回記録した失業率は、さらなる悪化が避けられそうにありません。
そうした雇用の悪化は、格差の拡大にもつながります。現に、失業率も、新型コロナの感染による死亡率も、所得が低い層ほど高く、また黒人は白人より高いからです。
このため、共和党内からも“アメリカ国民の分断ではなく結束を!”そう大統領がメッセージを切り替えて、人種問題や格差是正に取り組むよう求める声が出ています。その努力が足りなければ、新型コロナから支持率低下に至る一連のドミノ連鎖は止まらず、トランプ大統領の再選も危ういままかも知れません。

(髙橋 祐介 解説委員)

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