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「疑惑に揺れる元慰安婦支援団体」(ここに注目!)

出石 直  解説委員

韓国で元慰安婦を支援する活動を続けてきた団体に不透明な会計処理など数々の疑惑が持ち上がり、検察も捜査に乗り出しました。出石 直(いでいし・ただし)解説委員です。

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Q1、少女の像が涙を流していますね。

A1、ソウルの日本大使館前の歩道にこの像を設置したのが「挺対協」と呼ばれていた支援団体です。今は「正義連」と名前を変えていますが、この団体の元代表をめぐって、不透明な会計処理など様々な疑惑が持ち上がっているのです。

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Q2、少女像から離れていっている人もいますね。

A2、元代表と長年行動を共にし、活動のシンボル的な存在だった元慰安婦の女性が記者会見を開き「団体に寄せられた寄付は元慰安婦のために使われていない。我々はだまされ、利用されてきた」と厳しく批判したのです。告発を受けて検察は団体の事務所を捜索するなど捜査に乗り出しました。元代表は先月行われた総選挙で政権与党から立候補し当選しましたが、国会議員への就任を辞退すべきだという声も上がっています。

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Q3、元代表はこうした疑惑にどう答えているのですか?

A3、会計処理の一部に不手際があったことなどは認め謝罪しましたが「批判は親日保守勢力の謀略だ」と反論、議員就任を辞退する考えもないとしています。

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Q4、こうした疑惑が浮上したことで、日韓関係に何か影響はあるのでしょうか?

A4、すぐにということはないと思います。ソウルの日本大使館の前で毎週水曜日に開かれている抗議集会はきのう(27日)も行われました。ただ変化も出始めています。韓国ではこれまで、こうした支援活動は、批判することが許されない、いわば“聖域扱い”されていました。しかし今回の件をきっかけに慰安婦問題への取り組み方を見直すべきだという声が政権与党からも出始めています。これは大きな変化です。ムン・ジェイン政権はこれまで被害者中心主義、つまり被害者の意向が最優先だとしてきましたが、支援団体が必ずしも元慰安婦の意向を代弁しているわけではないことが、今回明らかになりました。これを機に、韓国国内の世論が、ただ日本を非難するのではなく、歩み寄りの方向に進んでいってくれることを期待したいと思います。

(出石 直 解説委員)

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