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日本も注目 アメリカ有人飛行復活なるか

水野 倫之  解説委員

スペースシャトル以来9年ぶりの有人飛行復活となるか、アメリカは新型の有人宇宙船をあす打ち上げる。その行方を、日本の飛行士も固唾をのんで見守っている。水野倫之解説委員の解説。

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新型宇宙船は流線形の斬新なデザインのカプセル型宇宙船「クルードラゴン」。
3000個もスイッチがあったシャトルに対して、スマホのようにタッチパネルで操作。
ステーションへも自動でドッキングするなど、飛行士の操縦はかなり楽に。
最大の特徴は民間が開発した有人宇宙船という点。

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アメリカは宇宙でも民間主導が進んでいて、クルードラゴンを開発したスペースXは火星到達を目標に掲げ、NASA出身の技術者らが集まり、すでにステーションへの物資輸送を担うなど高い技術力あり。
アメリカはこれまでロシアの宇宙船に一人当たり数十億円払って乗せてもらっていたが、有人月面探査も計画する中、低コストの自前の有人宇宙船を復活させることは悲願で、それを民間に託したわけ。
全米が注目するが、その行方を見守るのが野口聡一飛行士。
次の本番に搭乗することが決まっていたが、NASAはこの8月に打ち上げることを明らかに。
外国の飛行士としては第1号で、搭乗にむけた訓練も佳境。ただ新型コロナウイルスの影響が大きいと言う。

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感染防止のため隔離状態で、宇宙船の操作手順を示す動画を自宅で見て、ネットでトレーナーに質問するなど、慣れないことが多いと言うただ次が3回目の飛行となる野口さんは「これまでの経験をいかし困難な時期を乗り越えていきたい」と張り切っている。
NASAは今回の打ち上げも自宅でオンラインで見るよう呼びかけ、無観客打ち上げとなりそう。歴史的な飛行がうまくいくのか、あす朝の打ち上げに注目。

(水野 倫之 解説委員)


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