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学校再開 油断なき備えを!

西川 龍一  解説委員

緊急事態宣言の解除に伴って、多くの学校が再開されました。ただ、新型コロナウイルスの感染リスクがなくなったわけではありません。西川解説委員です。

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Q1.油断なき備えを!ということですが、再開されても元通りというは難しいですよね?

A1.基本的に学校の授業は、いわゆる3密になりやすいですから、なかなか元通りに戻すことはできません。文部科学省は、学校の新しい生活様式について先週末、全国の教育委員会に通知しました。例えば感染レベルが高い地域の学校では、理科の実験や観察、音楽の合唱などは行わないとしています。一方で、感染レベルが低い地域の学校であっても、教室の机同士は1メートルを目安に最大限間を開けること、休み時間に会話をする場合も一定程度距離を保つことや、身体が接触する遊びはしないことなどを求めています。

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Q2.仕方がないこととはいえ、なんだか窮屈な学校生活になりそうですね?

A2.そこは心配されるところです。一方で再開した学校には、今のうちに備えなければならない重要なことがあります。

Q3.何ですか?

A3.感染の第2波、第3波が起きた時に、子どもたちの学びをどうするかについての備えです。今回の長期間の休校は、国の突然の休校要請から始まったため、何の準備もできないまま休みに入ったことで、学びの確保ができなかったという事情があります。学習の遅れを夏休みの短縮や、平日の授業時間を増やすといったことで取り戻そうとしています。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大は終わったわけではないだけに、次に感染が拡大して再び休校せざるを得ない場合に備え、何をどのような形で学習してもらうのかを想定し、準備を進める必要があります。

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Q4.どんなことができますか?

A4.休校中、多くの学校が取り組んだのが端末を利用したオンライン授業でした。しかし、必ずしも運用がうまくいったわけではありません。ネット環境を含め、機器の整備を急ぐことや、教員や子どもたち、保護者も含め、習熟しておくことが必要です。国はそのために必要な人材を確保するなど、学校が次の感染拡大への備えをスムーズに行えるような体制作りを支える必要があります。

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(西川 龍一 解説委員)


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