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「『3密』入管施設 どうする感染防止」(ここに注目!)

二村 伸  解説委員

新型コロナウイルス感染防止のための様々な対策がとられている中、日本の滞在資格がなく入管の施設に収容されている外国人の間で感染への不安が広がっています。

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Q.入管施設では感染防止策がとられていないのですか?

対策はとられているのですが、まだ多くの外国人が密閉・密集・密接の3密の状態だと不安を抱いています。入管、出入国在留管理庁の施設に収容されているのは、滞在期限が切れたり、難民認定を受けられなかったりして強制退去を命じられた人たちで、3月末時点で全国あわせて1104人でした。本来は即時退去が求められるのですが、渡航制限により国に戻ることができません。このため法務省は、施設内の感染防止策として一時的に施設を出る仮放免を積極的に行う方針を決めました。しかし、4月末までに仮放免となった人は2割ほどと見られています。先日弁護団が収容者の相談を電話で受け付けるホットラインを設けたところ、1部屋に3人、あるいは4人収容され、熱があっても治療を受けられず感染が心配だといった声が相次ぎ、中には仮放免を求めたところ数十人の職員に抑えつけられたといった女性の訴えもありました。

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Q.仮放免されない人もいるのですね。

法務省は犯罪歴などの理由で仮放免が認められない人がいるとしていますが、支援にあたっている弁護士は、帰国を拒み長期収容されている人たちの仮放免が進んでいないと指摘しています。国に帰れば身の危険にさらされかねない人や長年日本で暮らし子どももいる人など帰るに帰れない人たちは、感染に怯えながら家族にも面会できない状態です。今回、不安を訴えた人の中には5年も収容されている人もいました。こうした人たちを早く仮放免すべきだと弁護士や支援団体は訴えています。

Q.仮放免が認められても、また施設に戻らなくてはならないのですね。

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今施設に戻っても感染のリスクがあります。一方で、施設を出ても働くことができず生活費は支援に頼らざるを得ないのが実情です。国連は「収容は最後の手段であり、収容に代わる措置をとるよう」求めています。住まいの提供や、労働の許可、収容そのものの廃止も選択肢とされ、制度を見直す国も相次いでいます。収容されている人たちの安全と人権を守るために日本はどう応えていくのか問われています。

(二村 伸 解説委員)

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