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「広がる教育格差 世界では」」(ここに注目!)

二村 伸  解説委員

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い休校となっていた学校が日本でも一部で再開されましたが、世界では今も多くの子どもたちが学校に通えない状態が続き、教育の格差が広がっています。

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Q.どのくらいの子どもたちが学校に通えないのですか?

ユニセフ・国連児童基金によれば、今も162の国と地域ですべての学校が閉鎖されたままで、世界の児童生徒の7割に上る12億人が影響を受けています。学校に行けない子どもたちでも、自宅でオンライン学習を続ける子もいれば、通信環境が脆弱でパソコンやプリンターなどの機器もなく勉強したくてもできない子どもも多く教育の格差はますます開いています。さらに、アフリカの貧しい国々では学校給食が頼りという子どももいて健康のためにも学校は不可欠な存在です。また、家で暴力を受けたり無理やり働かされたりしている子どもたちにとって学校は安全な場所です。ユニセフは「休校が長引けば長引くほど子どもたちが学校に戻る可能性が低くなる」と閉鎖の長期化の影響を懸念し、ユネスコや世界銀行などと共同で学校の再開に向けた新しいガイドラインを作成しました。

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Q.ガイドラインはどんな内容ですか?

再開には何が必要か、再開後はどんな配慮をすべきかなど国や地域社会の取り組み方が示されています。たとえば学校に通えない子どもたちへの支援や遠隔授業の拡充、休校による遅れを取り戻すための学習モデルの構築など地域の実情に応じた政策と予算の確保が求められています。とはいえ、人員と資金は限られ再開は容易でありません。それだけに海外で暮らす日本人にとっても教育の格差は切実な問題なのです。

Q日本人もですか?

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文科省によれば海外の日本人学校95校のうち、82校が先月末までに新学期の授業を始めましたが、中国の一部などを除くほとんどの日本人学校の子どもたちは外出制限下で自宅学習が続いています。日本に一時帰国した児童生徒は4分の1にすぎず、1万3000人が現地にとどまっています。安全を確保しながらいかに教育環境を整えるか喫緊の課題です。

(二村 伸 解説委員)

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