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「相談急増 休業手当が出ない」(ここに注目!)

竹田 忠  解説委員

政府の緊急事態宣言で会社が休業したものの、社員への休業手当を
会社が払ってくれないという相談が労働組合などに相次いでいます。
竹田忠(たけだ・ただし)解説委員に聞きます。

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Q①休業手当が出ない、というのは、働く人にとっては大変な問題ですよね?


その通りです。そもそも企業が休業する場合には、
社員に平均賃金の60%以上の休業手当を払うことが義務づけられています。
さらに、政府は、今回、この休業手当の一定割合を雇用保険のお金で負担する
雇用調整助成金という制度の見直しを進めているんです。

Q②具体的には、どう変わっているんですか?

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たとえば中小企業の休業手当については
本来はその3分の2をこの制度で助成するわけですが、
今回は、更に進めて、一人も解雇しないことを条件に、
10分の9に引き上げます。
さらに、先週新たに発表されたんですが、
休業要請に応じた中小企業が、
賃金と同じ額の休業手当を社員に出す場合は、その全額を助成する、
つまり、全部、制度で持つという方針も打ち出したんです。

Q③それなら、企業の負担はなくなって、休業手当も出しやすくなるわけですね?


だといいんですが、この助成金、申請してから降りるまで、
大変な手間暇がかかるんです。
それまで企業が自力で休業手当を出せるか、そこが課題なんです。
そしてもう一つ、気がかりな問題があるんです。

Q④それは、どういうことでしょう?

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そもそも休業手当というのは、
会社の都合で休業する場合は、休業手当を払ってください、というものなんです。
しかし、大災害など、不可抗力による休業の場合は、
その義務はない、とされている。

実は今回の緊急事態宣言や休業要請は、
まさに、その不可抗力にあたるのではないか?
それなら休業手当の支払い義務もない筈だ、そういう議論なんです。

ただ、加藤厚生労働大臣は、この議論に対して、
緊急事態宣言であっても、義務を一律に免除することはない。
総合的に判断することが必要、と述べて、釘を刺しているんです。

つまり、今、重要なのは、この緊急事態の中で雇用をどう守るか?
そのためには、企業に義務があるかないかに関わらず
助成金を使って、チャンと休業手当を出してもらえるよう、
先ほどの全額助成や、一日8330円という助成金の上限の緩和など、
必要な見直しをもっと急いでほしいと思います。

(竹田 忠 解説委員)

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