新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、福島第一原発では溶け落ちた燃料の冷却などをいかに継続して安定を保つか、緊迫した状態が続く。水野倫之解説委員の解説。
福島第一で働く社員や作業員4000人に感染者はまだ確認されていないが、東京電力では今月、本社や新潟県の柏崎刈羽原発などで社員11人の感染が判明。
今後福島第一で感染者が出れば、安全確保に大きな影響を与えかねないだけに現場は危機感を強める。
福島第一はほかの原発と違って4基で重大事故を起こし、建屋は破損したまま、後付けの冷却設備もた不具合が相次ぐ。
そうした中、まだ熱を発する溶けた燃料800tと1400体の使用済み燃料を絶えず冷却して安定状態に保つことが不可欠。
加えて毎日発生する汚染水の浄化処理、この3つの作業だけは24時間継続していかないと、再び放射性物質の放出につながりかねない。
そこで東電はその監視にあたる社員15班、100人の感染防止策を特に強化し、隔離を徹底。
寮からは専用バスで通勤し、建物内の移動ルートもほかの社員と分け、監視室の空調も独立させ、ほかの社員の立ち入りも原則禁止。
また食事も別の場所でとるなど、感染予防に力を入れる。
それでも感染拡大したら、監視員が感染した場合は、その班全員を監視業務から外す。
緊急事態宣言で本社からの急な応援も難しく、残りの班で冷却作業を続けていくと東電は説明するが、さらに拡大した場合は「状況に応じて判断していく」と言うのみ。
東電は今のうちから感染蔓延の最悪の場合の対応策の詳細を検討し、福島の人たちがさらに不安を抱えることがないようにしていかなければ。
(水野 倫之 解説委員)
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