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『お酒で消毒』 ウソ?ホント?

土屋 敏之  解説委員

◆新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、不足する消毒用アルコールの代わりに医療機関で「お酒」を使う動きも

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厚生労働省が今月10日、医療機関などに対し、手指の消毒用のアルコールの不足に対し、やむを得ない場合はアルコール濃度が高い酒を使ってもよい、という通知を出しました。国税庁も、こうした酒を製造する際に必要な手続きなどを簡素化しています。
 そこで、各地の酒造会社などが、こうした高濃度のお酒や、酒の製造技術をいかした高濃度アルコールの供給に乗り出している状況があります。

◆どういうお酒が使われる?

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 エタノールというお酒の主成分でもあるアルコールの一種が70%から83%の相当高濃度なもので、ウォッカなどの蒸留酒の一部が該当します。
 これはあくまで医療機関などに向けた話です。

◆私たちのまわりでも消毒薬が不足とも聞くが、どうしたらいい?
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 一般向けにはアルコール以外にも使えるものがあります。例えば、厚生労働省は、日常の手の消毒には石けんやハンドソープできちんと手洗いすれば問題ないとしています。また、机やドアノブなどの消毒には、次亜塩素酸ナトリウムという塩素系漂白剤の成分を適度に薄めて拭いて、後で水拭きすればよいともされます。ただ、直接さわらないよう手袋をしたり、扱い方はメーカーのホームページなどを確かめて下さい。
 一方で、燃料用アルコールによく使われるメタノールは、エタノールと名前は似てますが、これを使おうとするのは間違いです。メタノールは毒性が非常に強い物質なので、消毒には使わないで下さい。
 消毒への意識が高まるのは大事なことですが、物資の不足から医療崩壊につながらないよう、私たちも適切に使うことを心がけたいですね。

(土屋 敏之 解説委員)


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土屋 敏之  解説委員

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