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「新型コロナ テレワークで広がる 働き方格差」(ここに注目!)

竹田 忠  解説委員

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、
政府は出勤者の数を最低7割減らすよう求めています。
そのため必要なのが自宅でも仕事ができるテレワークを増やすこと。
しかし、そのテレワークが、新たな働き方の格差を広げようとしています。
竹田 忠 (たけだ・ただし)解説委員です。

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Q①なぜ、テレワークが、働き方の格差を広げるのでしょうか?


実は、今、テレワークで二つの格差が広がろうとしています。
一つは大企業と、中小企業の格差。
東京商工会議所が先月、会員企業に聞いたところ、
テレワークを実施しているのは、
従業員数が300人以上の規模の大きな所だと、57.1%。
つまりおよそ6割の企業で、この絵のように、
自宅で安全な環境にいながら、仕事をすることが可能になっている。
ところが、規模が小さくなると、その割合が次第に減って、
50人未満だと、14.4%まで下がるんです。

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Q②なぜ、こんなに差が出るのですか?


やはり規模の小さい所ほど、予算や設備やノウハウが足りない。
しかし、ここで重要なのは、今、テレワークが必要なのは
社員への感染を防ぐためです。
企業には、社員の健康と安全を守る、「安全配慮義務」が
法律によって義務づけられています。
中小企業でも、もっとテレワークが増やせるよう
行政の支援策なども、もっと工夫する必要があると思います。

Q③もう一つの格差というのは?


正規・非正規の格差です。
民間シンクタンクのパーソル総合研究所が先週発表した調査だと
テレワークを実施している社員は、正社員では27.9%。
しかし非正規では、17.0%。
10ポイント以上の開きがあります。

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Q④なぜ、非正規の人は、テレワークが少ないのですか?


その理由として非正規の人の答えで多いのが、
「テレワークで行える業務ではない」というものです。
つまり、それだけ現場の仕事が多いということだと思います。

そうなると、今後、感染の拡大と格差の拡大、
その両方を食い止めるためには、
テレワークできる仕事は、もっとテレワークできるようにする。
一方、テレワークできない仕事は、できるだけ休めるようにする。
そのためには安心して休めるよう、行政がキチンと休業補償をする。
もうずっと議論が続く、このおおもとの休業補償の問題をハッキリさせないと、
いつまでたっても弱い人たちの所にシワ寄せがいく、
ということになってしまうと思います。

(竹田 忠 解説委員)

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