新型コロナウイルスで大学は?
2020年04月15日 (水)
西川 龍一 解説委員
新型コロナウイルスの感染拡大は、全国の大学にも大きな影響を与えています。
Q1.今の状況では、大学も再開は難しいのではないですか?
A1.地域の感染拡大状況にかかわらず、多くの大学が入学式を取りやめたり、授業の開始を大型連休明けまで遅らせたりすることを余儀なくされています。文部科学省のまとめでは、全国の大学のうち8割が当面休校することを決めています。首都圏などでは、緊急事態宣言を受けてほとんどの大学で、学生はもとより教員も施設の利用ができない状態です。
Q2.授業はどうなるんですか?
A2.情報端末を利用したオンライン授業を始める動きがあります。先進的に取り組んできた秋田市の秋田国際教養大学や東京の国際基督教大学などは、7月まですべてオンラインで授業を行うことを決めました。全体では8割の大学が何らかの形でオンライン授業の実施を決めたり、実施を検討したりしているということです。一方で、下宿先で設備が十分でない学生もいます。このため国は、今回の経済対策の中で自宅に通信設備がない学生向けにモバイルルーターを貸し出したり、こうした授業を行ったことのない教員向けのサポートをしたりするための費用として27億円の予算を計上しています。
Q3.そうした対策で、なんとか授業はできそうなんですか?
A3.そう簡単ではありません。大学側は、これまですべての学生を対象にしたオンライン授業は想定していませんでしたから、授業のやり方次第でサーバーが容量を超えてつながらなくなるといったトラブルが出ることを懸念する専門家もいます。実際近畿地方のある大学では、先週、課題を提示したページにアクセスが集中し、2日間にわたってつながりにくくなるという事態が起きたということです。
Q4.想定外となると、始まったら始まったで、新たな問題が起きそうですね?
A4.授業のほかにも、大学という教育システムそのものを知らない新入生向けのガイダンスができないことや、就職支援がどうなるのかなど、学生は多くの不安を抱えています。決め手となる対応策が難しい中で、大学側はできるだけきめ細かな情報を学生に示していく必要があります。
(西川 龍一 解説委員)
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