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感染拡大、選挙にも深刻な影響が

梶原 崇幹  解説委員

4月14日、衆議院静岡4区の補欠選挙が告示されました。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、各陣営とも集会の開催を控えるなど、異例の選挙戦となる見通しです。

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Q)感染拡大は、社会や経済だけでなく、選挙にも大きな影響を与えているんですね。

A)14日告示された衆議院静岡4区の補欠選挙は、ことし初めての国政選挙で、与野党対決の構図ですから、本来であれば、政党の幹部が次々と応援にかけつけて、党を挙げて支持を訴えるところですが、今回は様相が一変しそうです。
幹部の応援を見送る政党があるほか、第1声で集まる支持者の数もかなり少なくなりそうです。各陣営とも集会の開催を控えるとしています。

Q)感染防止が最優先ですから、関係者は対応を迫られますね。

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A)この補欠選挙だけでなく、緊急事態宣言が出されている都府県を含め、全国では多くの地方選挙が予定されています。
候補者は、集会を中止したり、握手をしないようにしたりするなど、運動に大きな制約を受けています。各地の選挙管理委員会も、▼投票所で関係者がマスクを着用したり、消毒液を設置したりしているほか、▼混雑を避けるため、期日前投票を利用するよう呼びかけたりしています。また、総務省は、選挙管理委員会に対し、有権者が、持参した筆記用具を使うことなど、選挙の公正確保を前提にして、有権者の不安を解消する工夫をするよう求めています。
ただ、有権者の戸惑いは大きいとみられ、投票率が下がるのではないかとの懸念が出ています。

Q)影響が出る中でも、今回、選挙は予定通り行われるんですね。

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A)阪神淡路大震災と東日本大震災の際には、特例法が制定されて、被災地で選挙期日が延期されました。
政府は、今回は、震災の時のように、選挙の実施が物理的に難しいという事情はなく、政府の側から延期の措置をとることは考えていないとしています。

Q)有権者が候補者の訴えを十分に聞けなかったり、投票所に行くのを躊躇したりしているとなると、深刻ですね。

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A)こうした事情を受けて、公明党は、緊急事態宣言が出されている地域の選挙を延期するための法案を検討するとしています。一方で、他の党からは、感染終息が見通せない中で任期を延ばすことに慎重な意見も上がっていて、立場が分かれています。
▼集会などが中止される中、候補者の訴えをどう有権者に伝えるのか、▼投票所に行くことを躊躇する有権者の意思をどう投票に反映していくのか。今回の事態は、民主主義の根幹である選挙にも難しい課題を突きつけていると思います。

(梶原 崇幹 解説委員)


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