政府は先週まとめた緊急経済対策で、収入が大きく落ち込んだ中小企業などに対し給付金を支給する方針を打ち出しました。
Q 今回の給付金、中小企業の経営者から関心が高いようですね?
A そうですね。収入が激減するなかで、家賃など出ていくものは出ていく。そうした中で給付金がもらえるということで、企業からの問い合わせが殺到しています。ただ対策の裏付けとなる予算について政府は今月下旬の国会承認をめざしていますので、給付は早くともそのあと、ということになります。気になるのは、こうした給付金の受付や支払いをどう進めるかまだ具体的に決まっていないことです。外出自粛の呼び掛けで企業の売り上げが落ち込み始めてからもうだいぶ時間がたっている中で、今回の対策がそもそも遅すぎるという批判もあがっています。すみやかな給付に向けての体制づくりが急がれます。
Q 経営の苦しい企業からすれば、すぐにでも支給してほしいところですね。
A その通りです。ただその思いとは裏腹に、手続き上すぐには給付が受けられない支援策が、他にもあるんです。例えば、企業が従業員を休業させる際の手当てについて国が行う助成金が今回拡充されましたが、これも、手続きが煩雑でお金が手に入るまでには時間がかかります。一方、日に日に手持ちの資金が減っていく企業の側は、休業手当を支払うお金にも困っていて、従業員を解雇するケースも出てきています。
Q そうした企業はどう乗り切ればよいのでしょうか?
A 政府系の金融機関がいま無利子・無担保の融資を行っていますので、それを活用する手があります。ただ日本政策金融公庫では、今年1月末から先月末までに9万3千件あまりの融資の申し込みがあったのに対し、融資の決定は半分以下にとどまるなどあまりの申し込みの多さに体制が追い付いていない状況です。そこで新たな対策では、銀行など民間の金融機関による無利子の融資も行われることになりました。企業の経営破たんという最悪の事態を招かぬよう一刻も早い資金の手当てが必要となる中、融資の審査などすみやかな対応がのぞまれています。
(神子田 章博 解説委員)
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