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「ロシア・サウジアラビア仁義なき戦い」(ここに注目!)

石川 一洋  解説委員

低迷する原油価格を引き上げるため、OPEC石油輸出国機構とロシアなど産油国は9日緊急会合を開きました。石川解説委員に聞きます。

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Q原油下落に歯止めがかかるのか、でも安いほうが良くないですか?

Aガソリン代が安くてありがたいですね。ただ過度の原油安は世界経済悪化の原因です。

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世界の市場がこの話し合いの結果を注目しています。
プーチン大統領とムハンマド皇太子、相手の意図を読み違え、引くに引けなくなっていました。先月の交渉は決裂、ムハンマド皇太子は折角減産の案を提案したのにロシアが蹴るとは思いませんでした。一方プーチン大統領はまさかサウジアラビアがその後最大限の増産に踏み切るとは予想しませんでした。ロシア産の原油価格は一時20ドルを割り込み、予算で想定した42ドルの半分以下、一方国家財政を原油収入に頼るサウジアラビアも火の車です。そこで仲裁に乗り出したのがトランプ大統領です。

Qトランプディールですね?
Aトランプ大統領は先週二人と電話会談し、ここは頭を冷やしましょう、世界の需給をみると新型コロナで一日1000万バレルほど需要が減っている、この分減産し利益を分け合おうと持ち掛けたのです。その一方仲裁を蹴るならば、あなたの原油に輸入関税をかけますよと脅しているのです。
実は困っているのはトランプさんも同じです。シェールオイルが原油安で採算割れとなり、大手のシェールオイル会社が倒産するなど、大統領の足元にも火がついているのです。

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Q1000万バレル、どのくらいの量なのですか
A実はこの三か国、世界の三大石油生産国ですが、それぞれの一日の生産量に匹敵する膨大な量なのです。

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Qそんな大きな減産、ディールはうまくゆくのでしょうか
Aプーチン大統領は米ロ関係改善の機会をうかがっていただけにトランプディールは渡りに船の側面もあります。ロシアとサウジアラビアは減産の方向では一致し、1000万バレルをだれがどれだけ負担するのか詰めの協議を続けています。ただ二人は「トランプさん、漁夫の利は許しませんよ」と、アメリカも協調減産に入るよう求めています。自由経済の守護神というアメリカはこれまで生産調整の協議には加わらないというのが基本原則です。10日にはアメリカも含めたG20エネルギー相テレビ電話会談がありますがアメリカがどう絡むのか、注目です。

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(石川 一洋 解説委員)

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