原子力発電所の事故を防ぐにはどうすればよいのか。安全性を確認する国の検査があす・新年度から大きく変わる。キーワードは「抜き打ち」。水野倫之解説委員の解説。
抜き打ちというと学校のテスト思い出すが、その抜き打ちの検査が全面的に行われることになる。
これまで原発の検査は年に4回、原子力規制庁の検査官が原発に2週間立ち入ってた。
ただ検査日程や検査項目をあらかじめ電力会社に伝えていた。
これだと電力会社は事前に準備でき、検査官も現場よりも点検記録をチェックして終わりという傾向が。
これでは形式的で福島の教訓がいかされていないという批判。
今回、より緊張感のある制度の導入となったが事故から9年でようやく検査のあるべき姿が整ったということ。
抜き打ち検査は検査官がいつでも原発に立ち入って見るべき設備をチェックできるほか、電力会社の会議に参加したり社内のネットワークにアクセスして内部書類を見ることもできる。
これまで気づかなかった設備の不具合や管理の問題点が見つかることが期待。
ただこの検査制度、うまく機能するかは検査官が現場で素早く問題を見抜けるかどうかにかかっている。いかに検査官の能力を向上させるかが課題。
規制庁では200人いる検査官に面接試験を行い、あらたに検査官になる場合は2年間の研修を義務付けるなどして能力向上を図るという。
研修も必要だが、大事なのは毎日が検査だと思って現場を頻繁に見て回ること。ベテランの検査官に聞くと、いつも現場に通えば機器の音や温度の違いが分かるという。
現場を肌で知って新検査制度を実効性あるものにしていかなければ。
(水野 倫之 解説委員)
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