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「地下鉄サリン事件25年 今も続く課題」(ここに注目!)

清永 聡  解説委員

オウム真理教による地下鉄サリン事件から20日で25年になります。13人が死亡し、6300人が被害を受けたこの事件。今も続く課題は何でしょうか。

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Q:被害者の話を若い人たちが聞いています。
A:地下鉄サリン事件は、東京の中枢で猛毒の化学兵器が使われた、前例のない無差別テロです。
被害者の会はこの時期、オウム真理教によるサリン事件を若い世代などに語り継ぐ会を開いてきました。私も去年参加したのですが、当時は生まれていなかったという学生も多く、特に若い世代にとって事件を学ぶ貴重な機会でした。
ただ今年は残念ながら、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて催しは中止になっています。

Q:事件から25年となる中で、今どのような課題があるのでしょう。
A:多くの被害者が懸念しているのが、「アレフ」など後継団体がなお活動を続けていることです。被害者への賠償は今も10億円あまりが支払われないままですが、公安調査庁によると教団全体の資産は増える傾向にあって、昨年総額で13億円近くに上るということです。

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Q:どうして資産があるのに、賠償が進まないのですか。
A:今年もアレフに10億円の賠償を命じる高裁の判決が出たのですが、教団は争い続けています。被害者の会の弁護士の説明では「資産を個人や別法人の名義にしているため、すべてを強制的に取り立てることが難しい」ということです。
一方で、サリン事件の被害者は高齢化が進み、当時会社員だった多くの人が定年を迎えています。しかし猛毒のサリンが、高齢化によって健康にどういう影響を与えるのか、よく分かっていないこともあって、不安を感じる人もいます。

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Q:賠償も進まない上、健康への不安と、被害者にはやりきれない思いですね。
A:公安調査庁によると、教団全体の信者は1650人で、20代以下の若者も少なくないということです。
これから各地で大学など入学の時期を迎えます。イベントやSNSなどで勧誘する手口もあるということで、注意が必要です。
若者を危険なカルト団体へ巻き込まれないようにするためにも、若い世代に事件について繰り返し伝えていくことは、ますます大事な取り組みになると思います。

(清永 聡 解説委員)

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