新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、政府は2020年3月19日にも専門家会議を開くことにしています。
Q:専門家会議の協議のポイントは、どういったことになるのでしょうか?
A:これまでの対策の、どこがうまくいったのか、課題は何なのかといった評価です。
いまの対策は、感染者の集団=「クラスター」が発生した場合、感染者の周辺の濃厚接触者の調査を徹底して進めて、感染を拡大させないようにしています。
クラスターは、北海道や関東、近畿など各地で見つかっていますが、これまでの対策で、クラスターをどこまで抑え込んで、果たして感染をコントロールできているのか、専門家会議の判断がひとつ注目されます。
ただ、対策としては、クラスターだけでなく、はっきりと「見えないリスク」にも備えておく必要があると思います。
Q:「見えないリスク」とは、どういったものでしょうか?
A:感染者の中には、誰から感染したのかわからない人が報告されています。その陰には、症状が軽くて本人も感染に気づいていない、いわば「水面下の感染」が起きている可能性があります。この水面下の感染が表に出てきて、クラスターとならないよう、例えば大規模イベントの自粛などの対策が、いま行われています。
こうした対策は、効果も見えにくいため、「自粛して、どこまで感染を防げるのか」という疑問を感じている人もいるかもしれません。国民にわかりやすく、対策の有効性を示すことも大切だと思います。
Q:海外で感染が広がっていることも、日本の対策に大きく影響しそうですね。
A:すでにヨーロッパなどから戻ってきた人の中で感染が確認されるケースが出始めています。感染者は国内で広がるだけでなく、海外の各国から入ってくることを前提に考える必要があります。
こうしたことから、感染対策については、いまのレベルを「維持」する必要があるという意見が複数の専門家からは聞かれます。
専門家会議のあと、政府は次の対策を打ち出すことにしています。どういった効果をねらって、どこまでの対策を行うのか、専門家の見解・分析に基づいて、できるかぎり具体的に説明することが、政府には求められています。
(中村 幸司 解説委員)
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