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「原油価格暴落 ロシアとサウジの仁義なき戦い」(ここに注目!)

石川 一洋  解説委員

世界的に経済の先行きに不安が広がる中、原油価格が暴落しています。石川一洋解説委員に聞きます。

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Qなぜ原油価格が暴落したのですか?
A二大生産国、ロシアとサウジアラビアが、これまでの協調体制を破談としたからです。
両国は三年前からOPEC+ロシアとして協調、生産調整をすることで原油価格を60ドル前後で維持してきました。世界経済という大きなパイが膨らみ続けている間は、お互いに望みの取り分、シェアを維持して、儲けを分け合うことができました。相互利益というわけです。しかし両国の話し合いが決裂、今月9日、原油価格が一気に30%以上も一日で下落、これがNY株式市場で一時ストップ安となる株の大暴落のきっかけとなりました。

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Qなぜその相互利益、言い方悪いですが談合体制が崩れたのですか
A世界経済というパイが、新型コロナウイルスの感染拡大で縮小する恐れが現実のものとなったからです。サウジアラビアは、小さくなるパイを双方で分け合おうと生産の縮小を提案しましたが、ロシアは今の生産規模を維持すべきだと主張して決裂したのです。そこからは仁義なき戦い、生産協調から一転して双方とも生産拡大を表明、小さくなるパイの奪い合いが始まりました。値段よりもシェア・取り分の拡大に舵を切ったのです。ロシアはシェールオイルで世界最大の原油生産国となったアメリカにも仁義なき戦いを仕掛けています。ロシアとサウジアラビアの生産調整で漁夫の利を得てきたアメリカを潰そうという意図もあります。

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Q消費国日本にとって原油が安くなるのは良いことですが、こんなに原油価格が下がって生産国は大丈夫なのですか?
Aロシア、サウジ、アメリカも赤字覚悟の生産競争をいつまでも続けられるのか、さらにほかの産油国は採算割れです。何らかの野合が復活するかもしれません。
ただ問題は新型コロナウイルスによる世界経済の見通しがつかないことです。原油価格の低迷は、世界経済悪化のいわば指標であり、さらに原油価格の低迷がエネルギー企業の収益を減らし、世界経済を収縮させる悪循環となりつつあります。この悪循環がいつ止まるのか、まだ見通せないのが現状です。

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(石川 一洋 解説委員)

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