各地で新型コロナウイルスの感染が確認される中、政府・与党は、「緊急事態宣言」を可能にする法律の改正案を、13日に、成立させたいとしています。
Q)政府は、なぜ、法律を改正しようとしているのでしょうか。
A)さらなる感染拡大に備えて、より踏み込んだ対応を取れるようにしておく必要があると判断したからです。
政府は、新型インフルエンザ対策などのために制定された特別措置法を改正することで、それを実現しようとしています。
この特措法には、総理大臣が「緊急事態宣言」を行えば、都道府県知事が、住民に外出自粛を要請したり、百貨店や映画館など人の多く集まる施設の、使用制限や停止を、要請したり指示したりすることができるなど、より強力な措置が盛り込まれています。
Q)改正案の取り扱いはどうなりますか。
A)これまで、立憲民主党などは、改正しなくても適用は可能だと指摘してきましたが、法案審議には協力するとしています。政府は、改正案を、あす(10日)閣議決定し国会に提出する方針で、今週金曜日(13日)に成立する見通しです。
「緊急事態宣言」が出されれば、市民生活が大幅に制限されるだけに、いつ、どのような措置を取り、いつ解除するのか、審議の中で政府が明らかにできるか注目したいと思います。
Q)一方、外交面でも、来月予定されていた中国の習近平国家主席の日本訪問が延期されましたね。
A)安倍総理大臣は、習主席の国賓としての訪問を、ことしの最も重要な外交行事の1つに位置付けてきました。ただ、日中両国とも新型コロナウイルスへの対応に追われ、延期せざるをえませんでした。政府は、先週(5日)、中国からの入国制限の強化を決めましたが、訪問延期の決断を待ち時期が遅れたのではないかとの批判が出ています。
Q)再調整される日程はいつ頃になるのでしょうか。
A)夏には東京オリンピック・パラリンピックが予定されていますから、早くとも秋以降とされています。ただ、中国が海洋進出の動きを強めていることを受けて、自民党内には、習主席を国賓としての迎えるのに、反対の意見があります。今後、訪日を成功させる環境を両政府が整えられるかも課題となりそうです。
(梶原 崇幹 解説委員)
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