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「マラソン五輪代表『スピード勝負』へ」(ここに注目!)

小澤 正修  解説委員

東京オリンピック男子マラソンの代表選考レース、東京マラソンが3月1日に行われます。小澤正修解説委員です。

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新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、一般ランナーの参加はとりやめになりました。


3万7000人以上の一般ランナーが参加しないことになりましたが、規模を縮小した上で、代表選考レースとしては予定通り行われます。注目は3人、日本記録保持者の大迫傑選手(おおさこ・すぐる)、前記録保持者の設楽悠太選手(したら・ゆうた)、そして2年前のアジア大会金メダリスト、井上大仁選手(いのうえ・ひろと)です。


求められる力は何でしょうか?


それは「スピード」です。マラソン代表は、「一発選考」となった去年のMGC・マラソングランドチャンピオンシップで本番への高い調整能力を発揮した上位2人がまず決まりました。最後の1人には、去年の福岡国際マラソン、東京マラソン、来月のびわ湖毎日マラソンの3つを対象に、2時間5分49秒以内、つまり日本記録を更新し、かつ最も速いタイムを出した選手が選ばれます。タイムをクリアする選手が出なければ、3人目の代表はMGC3位の大迫選手となります。福岡国際で日本記録は出ず、MGCで2位以内に入れなかった有力選手の多くが、記録が出やすいとされる東京マラソンに集まりました。


東京マラソンはなぜ記録が出るのでしょうか?


東京マラソンは3年前のコース変更で終盤のアップダウンがなくなり、比較的平坦なコースとなって、それ以降、優勝タイムは2時間5分30秒以内の高速レースとなりました。2年前に設楽選手が16年ぶりの日本記録をマークしたのも東京マラソンです。びわ湖毎日マラソンは風の影響を受けやすいとされ、優勝タイムはこの3年間ではやくても2時間7分台。びわ湖毎日では今回、スタート時間を午後から、気象条件を受けにくいとされる午前に早める対策がとられます。

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話題となった厚底シューズはどうですか?


ナイキの厚底シューズは条件付きで世界陸連が使用を認め、今回も大迫、設楽の両選手をはじめ、多くのトップ選手が使う見込みです。MGCでまさかの最下位となった井上選手も、シーズン中では異例とも言えるシューズの変更を決め、マラソンでは初めてナイキの厚底シューズを使うことを明らかにしました。スピード重視の最後のひと枠へ、東京マラソンの結果が注目です。

(小澤 正修 解説委員)


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