「新型コロナウイルス 3つの『治療薬候補』」(ここに注目!)
2020年02月26日 (水)
堀家 春野 解説委員
新型コロナウイルスのさらなる感染拡大に備えて有効な治療薬を探す研究が始まりました。
Q)治療薬の候補に3つの薬があがっていますね。
A)新型コロナウイルスには直接有効な治療薬はまだありません。
そこで厚生労働省は研究班を立ち上げ、3つの薬が治療に使えるかどうか効果を確かめることになりました。このうちの2つは別の病気の治療薬として承認されているもので、患者の同意を得た上で投与されます。ひとつはエイズの治療薬で、すでに各地の病院で投与されています。これまで5人に投与した国立国際医療研究センターによりますと、症状が改善し退院している人もいれば、症状が重く今も病気と闘っている人もいるということです。
まだ効果を評価できる段階ではなく研究を通じてさらに情報を集める必要があるとしています。そしてもうひとつの薬は新型インフルエンザの治療薬で、200万人分が備蓄されています。ウイルスの増殖を防ぐため、新型コロナウイルスでもその効果が期待されるのではないかと考えられています。
Q)3つ目の薬はどのようなものなのでしょうか。
A)エボラ出血熱の治療薬として開発された薬です。これはどこの国でもまだ承認されていない薬ですが、同じコロナウイルスのSARSやMERSに対する動物実験では効果がみられたという報告があります。研究班はアメリカなどほかの国と共同で薬の効果や安全性について調べることにしています。
Q)3つの治療薬候補の投与はどのような患者が対象になるのでしょうか。
A)いずれも医師の判断で行われるので、一概には言えません。ただこれまで投与されたエイズの薬は肺炎になるなど比較的重い症状の患者に投与されているようです。
新型コロナウイルス、感染した人の8割は軽症だというデータがありますが、高齢者や持病がある人は重症化しやすく、中には亡くなってしまう人がいるのも事実です。リスクの高い人を守るために効果のある薬を探す、そして、どのような人にどのようなタイミングで投与すればいいのか、研究を通じて明らかになるのか注目したいと思います。
(堀家 春野 解説委員)
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