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「保釈の逃走 どう防ぐ」(ここに注目!)

清永 聡  解説委員

日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン容疑者がレバノンに逃亡した事件などを受けて、森法務大臣は21日、法制審議会に逃走防止の対策などを諮問する方針です。

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Q:これは、ひょっとして「あの箱」ですか。
A:保釈されていたゴーン元会長。音楽関係のケースに姿を隠して出国したのではないか、と言われています。ほかにも去年、保釈後に実刑が確定した男が逃走する事件も起きています。
そこで森法務大臣は、21日の法制審議会に保釈中の逃走を防止する対策などを諮問する方針です。

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Q:どんな対策が考えられますか?
A:森大臣はこれまでに会見で、保釈中の被告にGPSをつけて監視する方法について言及しています。それから、逃走罪は現在、刑務所などから逃げた場合に適用され、保釈中は対象外です。こうした点も議論されるとみられます。

確かにGPSを付けていれば、ゴーン元会長の違法な出国は防ぐことができた可能性がある、という指摘もあります。
また、逃走防止策だけでなく、このところ保釈そのものも議論になっています。
検察からは裁判所の保釈決定に、不服だとするケースもある一方で、日弁連、日本弁護士連合会は、身柄の拘束が長引くことを「人質司法」と呼んで強く反発しています。
また、ゴーン元会長の事件をきっかけに海外から「日本の司法制度は遅れている」と批判の声も上がり、法務省がホームページで「日本の制度は適切だ」などと英語で反論する展開になっています。

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Q:今後はどうなるのでしょうか。
A:IR=統合型リゾート施設をめぐる汚職事件で起訴された秋元司衆議院議員は12日、保釈されたばかりです。裁判員制度が始まって、裁判所は以前より保釈を認める傾向が進んでいます。
一方で逃走事件があれば地域にも不安を与えるだけに、法制審議会では、人権にも配慮しつつ実効性のある逃走防止策が求められます。今後は保釈を認める流れと逃走防止。この2つを両立させる取り組みを望みたいと思います。

(清永 聡 解説委員)

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