アフリカ北東部で今世紀最大規模のバッタの襲来により農作物が壊滅的な被害を受け、食料不足が深刻化しています。二村伸(にむらしん)解説委員です。
Q.バッタの大群ですか?
サバクトビバッタと呼ばれ体長は5センチほどで、1日に自分の体重と同じ量の植物を食べます。ケニアでは1千億匹から2千億匹のバッタに主食のメイズやソルガムなどの穀物が食い荒らされ、過去70年で最悪の被害となっています。ソマリアでは農作物が壊滅したとして今月はじめ非常事態が宣言され、エチオピアでは旅客機が緊急着陸を強いられました。すでに被害は7つの国に広がっています。アフリカは人口増加と異常気象、紛争などによって慢性的な食料不足に陥っていますが、そこにバッタによる被害が追い打ちをかけ、FAO・国連食糧農業機関によれば1300万人以上が深刻な食料不足に陥っているということです。バッタの大量発生による深刻な被害を「蝗害」と呼びますが、FAOは今世紀初の「蝗害」になる可能性もあると警戒しています。
Q.なぜこれほど多くのバッタが発生したのですか?
気候変動が原因と見られています。インド洋の海面温度の上昇による大量の雨やサイクロンの襲来が大発生を招いたと専門家は見ています。サバクトビバッタは本来は群れを作らないのですが、気象条件によって密集した状態で育つと変異が起きて子どもは群れを作って行動し植物を食べつくすようになるということです。そうして生まれたバッタは今も増え続け、3か月で20倍、9か月後には8000倍にもなるそうです。
Q.手の打ちようはないのですか?
各国で殺虫剤を散布してきましたが、バッタは猛スピードで1日に150キロも移動するため手に負えませんでした。そこで国連は最新鋭のドローンを使ってバッタの大群を追跡し殺虫剤をまく計画を立てています。現地では穀物の植え付けがまもなく始まりますが、バッタの孵化も始まり今後数が飛躍的に増えることが予想されるだけに、早急に制圧しないと食料危機によって数千万人の命が危険にさらされかねません。さらにアフリカだけでなく南西アジアも要警戒だということで、国際社会全体で取り組む必要があります。
(二村 伸 解説委員)
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