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「米大統領選『不思議の負けなし』!?」(ここに注目!)

髙橋 祐介  解説委員

アメリカ大統領選挙に向けた民主党の候補者選びについて、髙橋解説委員です。

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Q1)
けさのイラストはきょうのバレンタインデーにちなんでチョコレートショップ?
A1)
誰が“愛のチョコレート”を手にするか?第2戦のニューハンプシャーも、トップ争いは、左派のサンダース上院議員と中道派のブティジェッジ前サウスベンド市長。当初は有力と目されたバイデン前副大統領やウォーレン上院議員はまさかの“義理チョコ”ももらえませんでした。そんな民主党を横目に、けさ注目するのは、ある人物の記録的な得票数です。

Q2)
もしやトランプ大統領?
A2)
その通り。現職の大統領は、党内の予備選挙には、あまり力を入れないのが通例です。ところが、トランプ大統領は“全力投球”で圧勝し、共和党のすべての代議員を獲得しました。ニューハンプシャーの予備選で、トランプ大統領の得票数は、再選をめざした歴代の大統領たちを大きく上まわり、今回の民主党のどの候補よりも多かったのです。

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Q3)
でもトランプ大統領は共和党の指名獲得が確実なはずなのに、どうしてそんなに懸命なのですか?
A3)
民主党支持層の投票率が、前回4年前の予備選挙より高くなる可能性があるからです。現に、初戦のアイオワは前回並みでしたが、続くニューハンプシャーは過去最高を記録。この勢いが本選挙まで続いたらどうなるか?日本のプロ野球史にその名を刻んだ野村克也さんは、こんな名言を残しました。「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」。

Q4)
どういう意味ですか?
A4)
試合に勝つためには、負ける要因を予めよく考えて、備えておかなければならないと言うのです。選挙もいわば勝負事。前回4年前の大統領選挙で、トランプ大統領は、見方によっては不思議な勝ち方をしたかも知れません。一方の民主党は、予備選挙で中道と左派の対立が長引いて、本選挙は投票に行かなかった支持者も多く、いわば負けるべくして負けたのです。はたして今回はどうなるか?民主党の候補者選びの今後の盛り上がり次第では、トランプ大統領も再選への“甘い夢”にひたっていられないかも知れません。

(髙橋 祐介 解説委員)


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