NHK 解説委員室

これまでの解説記事

「アイオワ党員集会 想定外のドラマは?」(ここに注目!)

髙橋 祐介  解説委員

アメリカ大統領選挙に向けた候補者選びの初戦となる中西部アイオワ州の党員集会が、3日、日本時間のきょう午前10時から始まります。髙橋解説委員です。

c200204_3.jpg

Q1)
けさのイラストは民主党の候補たちが担がれて練り歩く?
A1)
はたして誰を民主党の大統領候補に担ぐのか?その担ぎ手となるのが代議員。全米に先駆けて、アイオワ州に割り当てられた代議員を争奪するのが今回の党員集会です。通常の予備選挙は、各候補が獲得する代議員の数を有権者による1回の投票で決めますが、アイオワの党員集会は、地区ごとに議論や説得を通じて候補を絞り込むのが特徴です。

Q2)
どの候補が有力なのですか?
A2)
アイオワ州で行われた事前の世論調査では、サンダース上院議員が頭ひとつリードして、バイデン前副大統領やブティジェッジ前サウスベンド市長、ウォーレン上院議員らが追う展開です。このところ支持率が好調な左派のサンダース氏は、若者ら熱心な支持者が多いのが強みです。「この初戦に勝利することで混戦から一気に抜け出たい」としています。
ただ、代議員の獲得数は、必ずしもそうした思惑どおりになるとは限りません。むしろ事前の大方の予想を覆す“番狂わせ”も、過去にはしばしば起きているのです。

Q3)
どうして“番狂わせ”が起きやすい?
A3)
民主党のアイオワ党員集会は、参加者の15%の支持を集められなかった候補は、選考の対象から外す特殊なルールがあるからです。選考の対象から外れた候補を支持した有権者は、いわば“第2希望の候補”を選ぶチャンスがあるのです。このため、オバマ前大統領のように、ここで事前の予想を上回る支持を集めて急浮上し、初当選まで駆けのぼった候補もいれば、逆にヒラリー・クリントン氏のように、“本命候補”と目されながら、ここで予想外に苦戦したケースもあったのです。トランプ大統領の再選阻止に挑む今回は、そうした“想定外のドラマ”は生まれるか?アイオワの党員集会は、集計作業が順調に進めば、日本時間のきょう午後にも大勢が判明する見通しです。

(髙橋 祐介 解説委員)


この委員の記事一覧はこちら

髙橋 祐介  解説委員

キーワード

こちらもオススメ!