アメリカのトランプ大統領は、30日、中西部アイオワ州で大規模な支持集会を予定しています。髙橋解説委員です。
Q1)
随分と着込んだトランプ大統領、なぜアイオワに行くのでしょう?
A1)
この時期はとにかく寒い内陸の中西部アイオワ州。ここで週明けの3日、全米に先駆けて、大統領候補選びが始まるからです。と言っても、トランプ大統領は共和党候補の指名獲得が確実です。むしろ誰が混戦から抜け出るか?まだ姿が見えない民主党候補の機先を制し、支持者への“お土産”をカバンに詰め込み、前回の本選挙でも勝ったこの州で再選への弾みをつけようと言うのです。
Q2)
どんな“お土産”がカバンに入っている?
A2)
一つ目は「中国との第1段階の合意」と「メキシコやカナダとの新たな貿易協定」です。全米有数の農業州アイオワは、大豆に豚肉、トウモロコシが特産です。そこで中国から、そうした農畜産物の大量購入の約束を取り付け、隣国との協定もアメリカ主導で見直した。そんな実績をアピールするのが狙いです。
Q3)
もうひとつのカバンの中身は何ですか?
A3)
「イスラエル寄りの中東和平案」です。アイオワ州は、人口のおよそ90%が白人で、その大体3分の1が“福音派”と呼ばれる保守的なキリスト教徒です。聖書の教えを重んじる“福音派”は、イスラエル寄りの人が多いため、この和平案もアピールに使うでしょう。現に、“福音派”のペンス副大統領も州内をバスツアー。ほかの閣僚や側近らも動員して、支持固めに懸命です。
Q4)
置いていくカバンもあるようですが、どうして?
A4)
トランプ大統領は、当初ここに弾劾裁判の「無罪評決」を入れるつもりだったでしょう。ところが、ボルトン前大統領補佐官らを証人として呼ぶかどうかで紛糾し、間に合いそうにありません。弾劾裁判は、証人召喚をめぐって今週末にも見込まれる採決の結果次第で、来週のアイオワ州の党員集会以降に決着がずれ込むかも知れません。
(髙橋 祐介 解説委員)
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