NHK 解説委員室

解説アーカイブス これまでの解説記事

「中東に護衛艦出港へ 課題は?」(ここに注目!)

権藤 敏範  解説委員

国会は、きょうから衆議院予算委員会で本格的な論戦が始まります。論戦のテーマの1つ、中東地域への自衛隊派遣について、権藤敏範(ごんどう・としのり)解説委員に聞きます。

c200127_0.jpg

Q)このイラストは、護衛艦が出港するところですか?

A)その通りです。海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」は、来月2日にも、中東に向けて出港します。来月下旬には現地に到着して、先に派遣されたP3C哨戒機とともに、日本の船が安全に航行できるよう防衛省設置法の「調査・研究」に基づき情報収集活動を行います。

Q)中東情勢は緊迫していますよね?

c200127_4.jpg

A)アメリカがイランとの核合意から一方的に離脱し、厳しい制裁を科しているのが原因で、今月初めには両国の緊張が一気に高まりました。野党側が、こうした状況での派遣を批判しているのに対し、政府は、武力が行使されている状況ではなく自衛隊が巻き込まれる危険があるとは考えていないとしています。
また、野党側は、日本の船の安全確保という面では、ペルシャ湾やホルムズ海峡が自衛隊の活動範囲に含まれておらず、意味があるのか疑問だとしています。

Q)なぜ、含まれていないのですか?

c200127_8.jpg

A)政府は、沿岸国が、領海内での船の安全確保に努める必要があること。また、アメリカなどとの連携を通じて情報収集が可能なことを理由に挙げています。
今回の派遣は、アメリカ主導の有志連合には参加しないものの、協力姿勢を示すという意味合いが強いでしょうから、これ以上、友好国のイランを刺激したくないという事情も背景にはあると思います。

Q)民間の船が襲われるような事態にはどう対応するのですか?

c200127_9.jpg

A)武器を使用して船を守ることができる海上警備行動を発令します。しかし、その対象は日本の船だけ。日本人が乗っていても外国の船なら、国際法上、武器を使用して守れません。これには、目の前で、外国の船が襲われているのを見過ごすことができるのかという懸念が根強くあります。
中東地域の不安定化は、原油のおよそ9割を依存する日本への影響も大きく、決して他人事ではありません。ただ、解決への特効薬はなく、政府には、関係各国とともに、アメリカ、イラン双方への粘り強い外交努力が求められています。

(権藤 敏範 解説委員)

キーワード

関連記事