「台湾の針路は あす総統選挙」(ここに注目!)
2020年01月10日 (金)
加藤 青延 専門解説委員
(キャスター)
きょうは、明日投開票が行われる台湾の総統選挙について、加藤青延(はるのぶ)専門解説委員に聞きます。加藤さんこれは競馬のレースでしょうか。
(加藤)
そうですね。総統選挙のレースは、事実上、与党民進党の蔡英文候補と、野党国民党の韓国瑜候補の一騎打ちの展開です。当初は出遅れ感もあった蔡英文候補ですが、「統一のためなら武力行使も放棄しない」という中国の強硬姿勢への反発をばねにぐいぐい速度を速めてきました。
(キャスター)
おや今度は蔡候補の馬の首が伸びましたね。
(加藤)
首が伸びたのは、アメリカが、台湾に「支援」というニンジンを差し出したから。蔡英文候補はさらに有利なレース運びになりました。中国への武力統一を恐れる台湾の人たちにとって、アメリカが支援として、戦車や戦闘機など大量の武器売却をしてくれたことが安心材料になり、蔡英文陣営の支持を高めることにつながったのです。
(キャスター)
これで蔡英文候補が快勝することになりそうなのでしょうか。
(加藤)
実は、台湾の今後を占う上では、もう一人、重要なキーパーソンがいるのです。
(キャスター)
それは誰でしょうか。
(加藤)
コースの外で馬を引く柯文哲台北市長です。台湾の2大政党、民進党でも国民党でもない「第3の勢力」を売り物に、ここ数年にわかに脚光を浴びてきました。今回の総統選挙のレースでは、出走を見送りました。しかし同時に行われている国会議員にあたる立法委員の選挙では、柯文哲氏らが率いる「第3の勢力」が存在感を増しているのです。現在過半数を占めている与党民進党の議席の一部が「第3の勢力」に食われ、もし民進党が過半数を割り込めば、議会のキャスティングボードを柯文哲さんらに握られてしまう可能性もあります。そうなれば仮に蔡英文総統が再選を果たしても、今よりやりにくくなるでしょう。ですから明日は、総統選挙と合わせて、立法委員の選挙の行方も、実は、今後の台湾政治を占う重要なキーポイントとして要注目なのです。
(加藤 青延 専門解説委員)
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