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「米大統領選 スポットライトを浴びるのは?」(ここに注目!)

髙橋 祐介  解説委員

来年のアメリカ大統領選挙に向けた野党・民主党の候補者選びで、日本時間のきょう(20日)ことし最後となるテレビ討論会が開かれます。髙橋解説委員です。

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Q1)
けさのイラストは?
A1)
ちょっと気が早いかも知れませんが、年末恒例“紅白歌合戦”に喩えてみました。民主党のテレビ討論会は6回目。西海岸ロサンゼルスの会場から全米に生中継されます。出場するのは、支持率や資金集めで一定の条件を満たした7人です。民主党の支持層は、まだ過半数が誰を大統領候補にすべきかを決めていない状態です。このため、どの候補者も来年2月の投票開始を前にスポットライトを浴びようと懸命です。

Q2)
7人の中では誰が有力?
A2)
現時点でいわば“不動のセンター”は、中道派のベテラン、バイデン前副大統領。次いで、2位のサンダース上院議員は、左派の“固定ファン”がいるのが強みです。同じく左派のウォーレン上院議員は、一時トップに立ちましたが、最近は“ヒット”が無く凋落気味。その間隙をつく形で中道寄りの“新人”ブティジェッジ市長が追い上げています。
トップ争いに絡んできそうなのはこの4人まで。「中道対左派」という民主党内の路線対立は当面決着しないでしょう。民主党がいわばバックバンドで奏でる曲目が変わってきたからです。

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Q3)
どんな曲目に変わってきた?
A3)
「トランプ弾劾」です。きのう民主党は議会下院で大統領の弾劾訴追に踏み切りました。年明けにも議会上院で始まる弾劾裁判で、多数を占める共和党によって、大統領の罷免は否決される公算です。しかし、きょうのテレビ討論会で、有権者の関心は、大統領弾劾の是非に集中するでしょう。すると候補者たちは、民主党の結束を乱すような独自性のアピールが難しくなります。突っ込んだ政策議論が置き去りにされたら、その分トランプ大統領が歌う“再選ブルース”にスポットライトを奪われることにもなりかねません。はたして誰がスポットライトを浴びるのか?民主党の大統領候補選びは、混戦がさらに長引くことになりそうです。

(髙橋 祐介 解説委員)


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