東日本大震災で被災した宮城県にある東北電力女川原発2号機について、原子力規制委員会はきょう、事実上の審査合格を決める見通し。水野倫之解説委員の解説。
原発に津波が押し寄せているが東日本大震災の時の女川原発はまさにこのような状況だった。地盤が1m沈下し、そこに13mの津波。
ただ敷地は15mあったため、非常用発電機の一部が水没したものの大きな被害は何とか免れた。
その後東北電力は津波想定を引き上げ、全国の原発で最も高い海抜29mの防潮堤を建設することを決め、規制委も了承、きょう事実上の合格となる見通し。
震災の影響が今なお続く東北で初の原発再稼働となるのか、今後地元が再稼働を認めるかが焦点。
地元では知事や立地自治体の首長からは反対の声はないが、避難計画が義務づけられた30キロ圏の7つの自治体のうち、美里町が反対を表明しているのが特徴。町長は、30キロ圏で実効性のある避難計画がまだできていないことを理由に挙げる。
調べてみると各自治体の避難計画は原発の安全審査とは違い再稼働の要件となっていないこともあり、特に地震や津波などが重なる複合災害への備えが不十分。
たとえば原発が建つ女川町。町民は内陸の栗原市へ避難する計画だが、震災で栗原市の最大震度は7。同じことが起きれば避難所が足りなくなる恐れもあるが、その場合どこに避難するのか決まっていない。
また女川町は道路が狭く、先月の台風19号では土砂崩れで中心部が一時孤立状態に。
同時に事故が起きた場合、避難路をどう確保するかも課題。
避難計画を実効性あるものにしていくにはやはり再稼働の要件にして、原発の安全審査のように国が専門的見地から問題点がないかどうかきちんと審査する仕組みを導入する必要。
そして、訓練を重ねて改善し続け、住民の安全確保を万全にしていくことが求められる。
(水野 倫之 解説委員)
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