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「米民主党ブティジェッジ候補の挑戦」(ここに注目!)

髙橋 祐介  解説委員

来年のアメリカ大統領選挙に向けた野党・民主党の候補者選びで、最年少候補ピート・ブティジェッジ氏が急浮上しています。髙橋解説委員です。

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Q1)
けさのイラストは、マラソンレース?
A1)
そのはずですが、流行りの電動キックボードでひとり余裕綽々、上位3人の疲れ具合を虎視眈々とうかがっているのが、ブティジェッジ氏です。
21世紀に成人した「ミレニアル世代」から初めて頭角を現した最年少候補。中西部インディアナ州サウスベンドという人口10万人の街で市長を務める37歳です。名門ハーバードやイギリス・オックスフォードに学び、市長を一時休職して従軍も経験。同性愛を公表し、男性パートナーと結婚した飛び切りユニークな経歴です。
全米の支持率では先頭集団に水をあけられているものの、来年2月に最初の党員集会が開かれる中西部アイオワに選挙運動を集中し、この州では既にいまの段階でトップ争いに躍り出ているのです。

Q2)
どうして緒戦をそんなに重視している?
A2)
来年11月の大統領選挙から逆に辿ってみましょう。民主党が大統領候補を正式に選ぶのは7月の党大会ですが、予備選挙の最大の山場は3月のスーパーチューズデー。ここまで開始から僅か1か月の間に全体のおよそ4割の票が固まるため、大勢が判明する可能性があるからです。つまりマラソンに見えても実はスプリント勝負。スタートダッシュが勝敗を大きく左右するでしょう。

Q3)
ブティジェッジ氏が一気に大統領候補に駆け上がる可能性もある?
A3)
まだ判りません。ブティジェッジ氏の強みは、ユニークな経歴が進歩的に見えて、訴える政策は穏健な中道寄り、いわば中道派と左派の“良いとこ取り”で、豊富な選挙資金を集め、党内の融和と結束を呼びかけます。
その反面、白人以外のマイノリティーから支持が集まっていないのが弱点です。このため、ヒスパニック系が多い第3戦の西部ネバダ、宗教保守や黒人も多い第4戦の南部サウスカロライナが大きな関門になりそうです。新世代の候補はどこまで受け入れられるのか?ブティジェッジ氏の挑戦に注目です。

(髙橋 祐介 解説委員)


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