国の新型インフルエンザ対策の総合訓練が、2019年11月8日、実施されます。訓練と、いま求められることを考えます。
Q:新型インフルエンザは、2009年に感染が広がりました。訓練は、次の新型インフルエンザに備えたものということでしょうか?
A:はい。この総合訓練は、毎年行われています。今回は、「国内で新型インフルエンザの最初の患者が確認された段階」を想定して行われます。
訓練では、
▽家族など、この患者と一緒にいた人に感染が広がっていないかの調査、
▽空港や港の検疫強化、
といった国内発生初期の対応を確認します。
国や自治体、ライフラインや交通など公共性の高い関係機関などが参加します。
Q:次の新型インフルエンザは、どれくらいの被害になる恐れがあるのでしょうか?
A:10年前=2009年の新型インフルエンザのとき、日本で、およそ200人が死亡しました。次の新型インフルエンザについて、国の被害想定では、死者が17万人から64万人と桁違いの人数になるとされています。
新型インフルエンザは、過去に10年から数十年くらいの間隔で発生しています。
Q:感染拡大をどう食い止めるかが重要になりますね。
A:新型インフルエンザに立ち向かうのに必要なこと、それは私たち一人一人が新型インフルエンザのことをよく理解することです。対策の効果を上げるうえでも大切です。
ただ、気になるデータがあります。
内閣府が今年7月に行った調査では、新型インフルエンザについて、
▽「世界的な大流行を起こす可能性がある」ことを知っていると答えた人は40.9%。
半数に満たなかったのです。また、
▽「例年冬に流行するインフルエンザとはウイルスの性質が大きく異なる」ことを認識している人は、32.4%にとどまっています。
Q:確かに理解が十分とは言えないですね。
A:国内で感染者が確認されると、不要不急の外出の「自粛」を要請されたり、学校やコンサート会場など人の集まる施設の利用が「制限」されたりします。
新型インフルエンザ対策には、国民の理解、つまり協力が欠かせないわけです。
国が行う訓練とともに、新型インフルエンザについて私たち一人一人が理解を進めて、備えのレベルを上げていくことが求められています。
(中村 幸司 解説委員)
この委員の記事一覧はこちら