NHK 解説委員室

解説アーカイブス これまでの解説記事

「合意できるか 東アジア地域経済連携」(ここに注目!)

櫻井 玲子  解説委員

アジアを中心とする、新たな自由貿易圏の実現に向けた交渉はまとまるのでしょうか。
日本をはじめ、16か国が参加するRCEP・東アジア地域包括的経済連携の閣僚級会合がタイのバンコクで開かれます。櫻井解説委員です。

C191101_0.jpg

Q1 こちらのイラスト、各国がRCEPというパズルを完成させようとしていますね?
 
A1 はい。世界のGDP・国内総生産のおよそ3割を占める大型の自由貿易圏を実現しようという交渉も、年内の妥結を目指して大詰めを迎えています。これまでの6年にわたる協議で、大半の分野では合意ができているのですが、関税など難しい分野が残されていて、残るピースをうまくはめることができるかが焦点です。

Q2 各国の合意は得られそうでしょうか?

A2 去年にくらべれば、その機運は高まっています。鍵を握るのは、交渉妥結を急ぐ中国と、その中国に対し巨大な貿易赤字を抱えるインドです。

C191101_4.jpg

中国はアメリカとの貿易摩擦の影響で景気が減速しており、RCEPを早くまとめたいのが本音です。今はアメリカが抜けたTPP・環太平洋パートナーシップ協定にも関心を寄せているようです。このため中国製品の輸出による影響の緩和策などを巡り、譲歩の姿勢も垣間見えるということです。一方、インドは、去年は国内の総選挙を控えて協議全体をストップさせました。ことしこそ、最終局面で柔軟な姿勢に転じるかが、注目されます。ただ、中国などからの輸入が増えることを警戒する産業界の反対は、依然として根強く、週明け4日の首脳会合までにどこまで歩み寄れるか、駆け引きが続きます。

Q3 RCEPがまとまればどんなメリットがあるでしょうか?

C191101_6.jpg

A3 合意できれば、日本にとっては主要な輸出先である中国や韓国も含む包括的な地域経済連携は初めてとなり、アジアに進出する日本企業のビジネス拡大にもつながる可能性があります。また、アメリカと中国、アメリカとヨーロッパが、それぞれ貿易摩擦で対立し、世界経済の成長率も押し下げられる中、アジアで自由貿易を推進し、台頭する保護主義をけん制する意義はある、といえます。
交渉の行方は予断を許しませんが、各国の詰めの協議を見守りたいと思います。

(櫻井 玲子 解説委員)

キーワード

関連記事