来週から年末にかけて予定されている国際会議に合わせて、安倍総理大臣とムン・ジェイン大統領による日韓の首脳会談が実現するかどうかに注目が集まっています。
出石 直(いでいし・ただし)解説委員です。
Q1、両首脳ともまだ会談の席についていないようですが、机の上にはたくさんの課題が山積みになっていますね。
A1、その通りです。▽日韓関係が悪化する直接の引き金になった徴用をめぐる問題。▽輸出管理の優遇対象国いわゆるホワイト国から双方を外した問題、▽安全保障上の機密情報を共有するGSOMIAを破棄するとしている問題、▽元慰安婦を支援するための財団を韓国側が一方的に解散した問題、などなど。
首脳会談が長く開かれていない間に、こんなに宿題が溜まってしまったのです。
Q2、首脳会談はそんなに長い間、開かれていないのですか。
A2、6月の大阪でのG20サミットでムン大統領が来日しましたが、この時も首脳会談は実現しませんでした。去年9月のニューヨークでの国連総会の時に会談して以来、1年以上行われていないことになります。
Q3、こんなに課題が山積しているのに、なぜ首脳会談が実現しないのでしょうか?
A3、一番のネックになっているのは、徴用をめぐる問題です。日本政府はこの問題で韓国側が解決の道筋を示さない限り、首脳会談をしても意味はないという立場です。確かに互いの主張をぶつけ合うだけなら意味がありませんから日本政府の主張も理解できます。
ただ今の日韓関係、国と国との関係の基礎であるはずの信頼関係が崩れてしまっています。具体的な成果は望めなくても、まずは首脳どうしが顔を合わせて互いの信頼関係を少しずつでも取り戻すという意義もあるのではないでしょうか。
Q4、今後、首脳会談が実現する可能性はあるのでしょうか。
A4、来週にはバンコクでASEANの首脳会議が開かれます。来月(11月)中旬に予定されていたAPECの首脳会議は中止になりましたが、年末には北京で日中韓サミットが予定されています。“今の状態をこのまま放置できない“という点では両首脳とも一致しています。どこかの機会をとらえて首脳会談を実現し、少しずつでも関係修復の糸口を見出していくことが必要ではないでしょうか。
(出石 直 解説委員)
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