NHK 解説委員室

解説アーカイブス これまでの解説記事

「囲碁10代芝野名人 井山四冠に挑む」(ここに注目!)

高橋 俊雄  解説委員

囲碁で初めて10代で「名人」となった芝野虎丸名人(19)が、囲碁界の第一人者、井山裕太四冠(30)に挑戦する王座戦の五番勝負が、25日から始まります。

C191025_0.jpg

【名人の次は王座に挑む】
囲碁には7つの主要な棋戦があり、これに勝って「七大タイトル」を獲得することが、トップ棋士のあかしと言えます。
現在、七大タイトルのうち、棋聖、本因坊、王座、天元の4つを井山さんが占めています。一方、芝野さんは今月8日に名人戦を制し、19歳11か月で「名人」になりました。七大タイトルを10代のうちに1つでも獲得したのは芝野さんが初めてで、井山さんが持つ20歳4か月の最年少記録を更新しました。
その芝野さんが、名人獲得から1か月たたないうちに、今度は「王座」のタイトルをかけて井山さんに挑むことになったのです。

C191025_1.jpg

【早くも強豪の1人に】
芝野さんは、囲碁のマンガが好きだという父親の影響で囲碁のゲームに親しんだあと道場に通い、14歳でプロ入りしました。2歳年上の兄もプロ棋士です。平成27年には日本棋院の棋士の中で最も高い勝率をあげ、29年にはこの年の最多勝利賞に選ばれました。七大タイトルへの挑戦は今回の名人戦が初めてで、初戦は敗れたもののその後4連勝し、早くも強豪の仲間入りを果たしました。井山さんも以前、記者会見で「若くて勢いのある棋士」として芝野さんの名前を挙げ、「碁への姿勢を含めて感心することが多い」と評していました。

【対する井山四冠は】
一方の井山さんは、前人未到の七大タイトル独占を2回も成し遂げ、去年、将棋の羽生善治さんとともに国民栄誉賞を受賞しています。七大タイトルの獲得回数は通算で45期に及び、歴代1位です。ただ、この1年あまりの間にタイトルを3つ失っています。現在、「天元」のタイトルをかけた別の棋士との対局も進んでいて、これから12月にかけて、王座と天元の2つのタイトルの防衛戦に並行して臨む形になります。

C191025_6.jpg

【勝敗の行方は】
2人はともに積極的な攻めが持ち味で、ことし2月に1度だけ公式戦で対局したときは芝野さんが勝っています。
今回の王座戦の五番勝負は12月にかけて行われ、芝野さんが先に3勝をあげれば、名人とあわせて早くも「二冠」となります。一方、井山さんが勝てば、王座戦5連覇を達成して、「名誉王座」の資格を獲得することになります。
実績では大きく上回る井山さんとの対局を前に、芝野さんは「大変だと思っています」と語っていましたが、相手を意識せず目の前の碁盤に向き合うのが、芝野さんの強みです。
勢いのある新鋭の芝野さんと、これ以上タイトルを失いたくない現役最強の井山さん。熱戦が期待できそうです。

(高橋 俊雄 解説委員)

キーワード

関連記事