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「どうなる?米『香港人権法案』の採決」(ここに注目!)

髙橋 祐介  解説委員

はたして米中対立に拍車をかけることになるでしょうか?アメリカ議会上院は、香港での人権尊重と民主主義の確立を支援する法案を審議しています。髙橋解説委員です。

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Q1)
NBA開幕にちなんでバスケットボールのイラストですが、観客席が異様ですね?
A1)
香港政府に抗議するため、敢えてマスクで顔を隠した黒いTシャツの若者たち。香港で続くデモの参加者が、中国チームよりアメリカチームを応援している理由は、このボール。その名も「香港人権・民主主義法案」です。香港に“高度な自治”を認めた“一国二制度”を中国政府が損なっていないか毎年検証し、人権抑圧にはアメリカによる制裁措置も可能にする法案です。すでに先週、下院が全会一致で可決したのに続き、上院がいつ採決するかが注目されているのです。

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Q2)
上院による採決はどうなりそう?
A2)
今のところ、法案への反対はゼロなのに対して、法案の共同提出者だけでも上院議員100人の3分の1にあたる33人。その中には、与党・共和党でかつてトランプ氏と予備選挙を戦ったマルコ・ルビオ議員やテッド・クルーズ議員のほか、来年の大統領選挙に野党・民主党から挑むエリザベス・ウォーレン議員やカマラ・ハリス議員も名を連ねています。
つまり“超党派の支持”があるため、採決すれば可決は確実です。可決された法案は、大統領が署名すれば成立します。しかし、トランプ大統領は、ここでシュートを決めるかどうか?手の内を明かしません。

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Q3)
どうしてでしょうか?
A3)
「この法案が成立すれば必ず強力な対抗措置をとる」そう中国政府が警告しているからです。どんな対抗措置かはわかりません。ただ、アメリカの制裁によって、関税やビザ発給などで中国本土より香港を優遇している現状を見直せば、香港経済にも悪い影響が懸念されています。しかも、アメリカは今、来月半ば南米チリで開かれるAPECで米中首脳会談を行い、中国との貿易交渉で「第1段階の合意」をめざしていますから、そこへの影響をトランプ大統領は専ら心配しているのでしょう。
はたして、再選に向けた実績づくりのため、香港問題を中国とのいわば“交渉カード”に使うのか?それとも、アメリカ議会から超党派の後押しを受け、香港の自由と民主化の確立をめざすのか?トランプ大統領の“次のプレー”が試合の流れを決定づけることになりそうです。

(髙橋 祐介 解説委員)

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