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「避難生活『不眠』に注意」(ここに注目!)

堀家 春野  解説委員

台風19号の豪雨災害から1週間以上が経過し、懸念されているのが「不眠」の問題です。

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Q)。避難所では環境が変わって夜眠れないという方もいらっしゃいますよね。
A)。はい。災害が起きて大きなストレスを感じた後に不眠の症状が出るのは決して珍しいことではないんです。東日本大震災の被災地でも4人に1人が不眠で悩まされたという調査もあります。不眠の症状は様々です。寝付きが悪くなる、夜中に何度も目覚めてしまう、二度寝ができない、熟睡したと感じられないといったものです。
眠れないと疲れが取れませんし、不眠が長引くと高血圧や糖尿病などの生活習慣病の持病が悪化することや感染症にかかりやすくなることもあるといいます。

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Q)。眠れないときにはどうすればいいのでしょうか。
A)。ストレス・災害時こころの情報支援センターによりますと、「眠れるときに眠る」という開き直りが必要だといいます。夜、眠らなければならないと身構えるとかえって眠れなくなります。羊を数えるのもやめたほうがいいといいます。避難所では、眠れないときに一旦起きて周囲を気にせず過ごせる「夜間のリビングスペース」を設けることが考えられます。少し明るいところで座って過ごすと気持ちが落ち着くことがあるからです。ここでは間仕切りをして周囲に光が漏れないようにします。日中も眠くなった人が利用できる仮眠スペースを設けられたらいいといいます。

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Q)。必ずしも夜眠らなくていいんですね。
子どもでも不眠になる可能性はあるのでしょうか。
A)。はい。子どもの場合は寝床にいくのを嫌がる、1人で寝るのを怖がるといった症状が出ることがあるといいます。そうしたときは年長の子どもであっても添い寝をするといいといいます。睡眠問題が専門の秋田大学大学院の三島和夫教授は「過度に心配する必要は無いが不眠が1か月程度続く場合は治療が必要な場合もあるので医師に相談してほしい」としています。台風19号の豪雨災害から1週間以上がたちました。睡眠がしっかりと取れるような環境整備を急ぐ必要があると思います。

(堀家 春野 解説委員)


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