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「韓国法相辞任の波紋」(ここに注目!)

出石 直  解説委員

さまざまな疑惑が取り沙汰されている韓国のチョ・グク法相が、おととい(14日)突然、辞任し、波紋が広がっています。出石 直(いでいし・ただし)解説委員です。

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Q1、こちらはラグビーのスクラムですね。

A1、辞任したチョ・グク氏は、ムン大統領の最側近のひとり、大統領とスクラムを組んで政権の屋台骨を支えてきた人物でした。そのチョ氏が就任後、わずか一か月余りで辞任。
スクラムの一角が崩れてしまったのです。ムン政権と対立している野党・保守陣営は、ここぞとばかりに攻勢を強めています。

Q2、ムン大統領、ずいぶん押し込まれていますね。

A2、チョ氏をめぐっては、就任する前から、家族ぐるみの不正な投資や娘の不正入学疑惑など、数々の疑惑が取り沙汰されていました。法務行政を司る法相にはふさわしくないという強い反対があったにも関わらず、任命を強行したのはムン大統領です。
その任命責任は重いと言わざるを得ません。チョ氏の辞任を受けてムン大統領は「申し訳ない」と国民に謝罪しましたが、支持率の低下は避けられないでしょう。

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Q3、辞任を求める国内世論に押し切られたということなのでしょうか。

A3、ソウル市内ではチョ氏の辞任を求める大規模なデモが繰り返されていました。
しかしその一方で、チョ氏を守るべきだという集会も政権与党の支持者を中心に開かれていました。国論が真っ二つに割れていたのです。韓国では来年4月に総選挙が予定されています。今回のチョ氏の辞任をきっかけに、こうした与野党間の対立がさらに激しくなるものと見られます。

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Q4、日韓関係への影響はどうでしょうか?

A4、ムン大統領が劣勢を挽回するために日本に対しさらに厳しい姿勢を取ってくるのではないかと心配する声があります。ただその一方で、国民の関心が与野党の対立、内政に向けられるので、不買運動などは下火になるのではないかという見方もあるのです。
いずれにせよ韓国は、これから来年春に向けて政治の季節に入ります。国内の対立が日韓関係にどんな影響を及ぼすのか、注意して見ていく必要があると思います。

(出石 直 解説委員)

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