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「消費増税スタート 景気はどうなる?」(ここに注目!)

櫻井 玲子  解説委員

消費税の税率が8%から10%に引き上げられました。
平成26年4月以来の引き上げです。

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Q1 こちらの船、高波に囲まれていますね。

A1 はい。消費増税は5年半ぶりですが、前回とくらべて、国内外の経済環境が厳しい状況を、イラストにしてみました。
といいますのも、今、世界経済は、米中貿易摩擦の大きな波を受けて、減速しています。日本でもことしの4月から6月までの製造業の設備投資が2年ぶりの減少となり、きょう(10月1日)発表される日銀短観でも、大企業製造業の指数が悪化する、と多くの専門家はみています。

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さらに先には、イギリスのEU・ヨーロッパ連合からの離脱や、中東情勢の緊張による原油価格の上昇リスクもあります。消費増税という重い荷物を抱えつつ、押し寄せる荒波をくぐりぬけることができるか、注目されます。

Q2 緊張感が漂うスタートですね。

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A2 はい。実は前回の2014年・平成26年4月は、国内外の景気に、より、明るさがありました。当時は、日銀の大規模な金融緩和が始まってちょうど1年。円安・株高がすすんで、企業は増収増益。賃上げも相次ぎ、「今、増税しなければ、いつやるのか」といった声まで聞かれるほどでした。ところがその後は、増税前の駆け込み需要の反動が大きく、その年の4月から6月までのGDPはマイナス7%に。消費は回復するまで、3年もかかりました。

Q3 となると、政府としても前回以上に、景気を落ち込ませないための対策が必要ということですよね?

A3 はい。今回の消費増税は将来への不安を少しでもなくせるようにと決まったものですが、政府は足元の景気にも目配りしようと、軽減税率の導入や、増税後のキャッシュレス決済のポイント還元策などを打ち出しています。駆け込み需要を抑え、その後の反動を最小限にしたい考えです。実際、これまでの駆け込み需要の規模は、前回より、小さい、とみられています。

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ただ専門家からは、駆け込み需要が抑えられているというよりも、消費そのものが弱いだけではないのか?すでに景気がそれだけ厳しくなってきているのではないか?と懸念する声も出ています。前回の教訓も念頭に、注意深い舵取りが、求められていると思います。

(櫻井 玲子 解説委員)

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