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「日韓外相会談 対立は長期化の様相」(ここに注目!)

梶原 崇幹  解説委員

悪化が続く日韓関係の行方について、梶原解説委員です。

茂木外務大臣は、韓国のカン・ギョンファ外相と、9月26日(現地時間)、訪問先のニューヨークで会談しましたが、「徴用」をめぐる問題などで、双方が従来の立場を主張するにとどまりました。

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Q)イラストは、茂木大臣とカン外相が乗っている船が、氷に閉ざされて動けなくなっているんですね。
A)両国の行方には、さまざまな懸案が待ち受けていますが、日本政府は、いてついた日韓関係を打開するには、「徴用」をめぐる問題が最優先だとして、まずは韓国が、この問題を解決すべきだとしています。
これに対し、韓国政府は、日本の輸出管理強化の撤回を強く求めています。
今回も、こうした、お互いの主張を述べあうにとどまりました。会談では、通訳だけを入れた1対1のやりとりも行われましたが、顔合わせの意味合いが強いものでした。

Q)歩み寄りがみられない背景には、なにがあるのでしょうか。
A)両政府ともに相手に対する不信感を深めていることがあります。
日本政府にとっては、「徴用」をめぐる問題は、両国関係の土台となってきた日韓請求権協定に関わる問題だけに、譲歩するわけにはいきません。
この日韓請求権協定とは、1965年に、日韓両国が国交を正常化する際に結ばれたもので、戦後処理でもっとも難しいとされる補償の問題を「完全かつ最終的に解決する」ことを内容としています。
日本政府としては、ムン・ジェイン政権が対応策を示さず、協定で一括解決した補償の問題を蒸し返そうとしているのではないかと不信を強めています。
一方、韓国政府は、半導体が経済の柱だけに、安倍政権が、輸出管理強化で、韓国経済の柱を狙い撃ちしたと反発しています。
さらに、ムン大統領の支持率は低下傾向にあり、「徴用」をめぐる問題で、日本に譲歩したと受け取られかねない対応は取りにくいのが現状です。

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Q)両国関係は今後も厳しい状況が続くことになるのでしょうか。
A)不信感がここまで強まってしまうと、首脳同士が会談して事態を打開するのは難しく、対立の長期化は避けられないという見方が大勢です。
当面は、閣僚間の協議や、国会議員間の交流を粘り強く続け、パイプを維持していくことが求められると思います。
これから年末にかけて、APEC=アジア太平洋経済協力会議や、日中韓3か国の首脳会議など、両国の首脳や閣僚が顔を合わせる機会が予定されています。日本政府としては、こうしたタイミングも見ながら、さまざまなパイプを通して韓国政府に対応を求め、関係改善の糸口を探ることになりそうです。

(梶原 崇幹 解説委員)

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