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「トランプ大統領の対イラン政策は?」(ここに注目!)

髙橋 祐介  解説委員

サウジアラビアの主要な石油関連施設が、何者かによって大規模な攻撃を受けた事態に、アメリカのトランプ大統領は、どのように対応するでしょうか?髙橋解説委員です。

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Q1)
けさのイラスト、トランプ大統領がイランを指差していますね?
A1)
今回の攻撃は「イランが背後にいた可能性が高い」そうトランプ大統領は、イランによる関与を疑っています。イラン側は関与を全面的に否定していますが、アメリカ側はポンペイオ国務長官が中東に飛んで、今後の対抗措置をサウジアラビアと協議する方針です。
そうしたイランに対する強硬姿勢を、いわば悪魔に扮した“ミニトランプ”が支える一方で、大統領の耳もとには、天使に扮した“もうひとりのミニトランプ”が「戦争はダメ」と囁くのです。現にトランプ大統領は「多くの選択肢がある」としながらも「戦争は望まない」と述べました。

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Q2)
そうしたトランプ大統領の発言には、どんな理由がある?
A2)
イランへの軍事作戦は、多大な困難と犠牲が伴います。アメリカの国内世論も、イランとの戦争を支持する声は今のところ多くないでしょう。しかもイランとの戦争は中国やロシアにとどまらず、ヨーロッパの同盟国も支持しません。そして最大の理由は、大統領自身の再選を危険にさらしかねないからです。このため、トランプ大統領は、イランによる関与を示す“証拠”の検証を急ぐとする一方で、ただちに報復攻撃に踏み切ることには慎重です。

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Q3)
ではアメリカは今後イランに対してどのような政策を進めていく?
A3)
奇妙なことに今回の攻撃は、イランの核問題をめぐりトランプ政権で最も強硬だったボルトン大統領補佐官が解任され、トランプ大統領がイランとの対話に乗り出そうと意欲を見せたまさにそのタイミングで起きました。イラン側も態度を硬化させ、国連総会に出席するため訪米を予定しているロウハニ大統領が、トランプ大統領と首脳会談を行う可能性をきっぱり否定しています。
はたして対決と対話いずれの道を両国は選ぶのか?今回の攻撃を仕かけたのが誰であれ、いまのトランプ大統領が置かれた“手詰まりの状態”を予め見透かしていたのかも知れません。

(髙橋 祐介 解説委員)

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