来年の東京オリンピックのマラソン代表選考レース、MGC=マラソングランドチャンピオンシップが15日に行われます。小澤 正修解説委員です。
Q。
今回は代表が、「一発勝負」で決まるんですよね?
A。
マラソンの東京オリンピック代表は男女とも3人のうち、MGCの上位2人が自動的に決まります。これまでは気候や出場選手など条件の異なる複数のレースの順位やタイムを総合的に判断して決められていましたが、明確な基準はなく、選考を巡る騒動がたびたび起こっていましたよね。ですので、「一発勝負」でオリンピック代表の座を争う今回の仕組みは、非常に透明性が高いと言えると思います。
Q。
どんなことがMGCで選手に求められますか?
A。
なんといっても、15日のレースにピークをあわせる「調整能力」だと思います。コースはオリンピックとほぼ同じ、日時も、来年8月の本番にあわせて、残暑の厳しい時期が設定されました。「一発勝負」でオリンピック代表が決まるレースには大きな重圧がかかりますから、ここで実力をいかに発揮できるかが、オリンピックでのメダル獲得にもつながります。
Q。
オリンピックでの活躍も、みすえたレースなのですね。
A。
実はマラソンのメダル獲得は、男子が1992年のバルセロナ大会、女子が2004年のアテネ大会が最後で、MGCは、低迷するマラソン強化策の一環でもあります。そもそもこのレースに出場すること自体大変なことで、東京オリンピックを目指す選手たちは、この2年間、対象となるレースで実績をあげて、まずはMGCへの出場権を得ることが求められました。こうした中、男子では、去年、設楽選手と大迫選手が16年も更新されなかった日本記録を相次いでマーク。MGCというわかりやすい目標ができたことが、全体を底上げする要因のひとつになったと思います。
Q。
もう1人の代表はどうやって決まる?
A。
男女ともMGCのあと、来年春までの3つのレースで、派遣設定記録を上回り、かつ最も速いタイムを出した「スピード」のある選手が選ばれます。設定されたタイムを突破した選手がいない場合は、MGCの3位の選手となります。まずは「一発勝負」で、代表の座をみずからつかみとるのは誰なのか、注目です。
(小澤 正修 解説委員)
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